医薬品製造設備の洗浄バリデーション【第7回(最終回)】

2013/10/28 施設・設備・エンジニアリング

-洗浄バリデーションのGMP省令における取り扱い、PIC/S GMP Annex 15の推奨事項、そして今後-
 

Validationの一般要件と法規制
 洗浄バリデーションの基本コンセプトとして、「医薬品の有効性および安全性を確保するためには、承認された成分以外のものが含まれていないことが必須である。そのためには、製造環境からの異物を混入させないこと、および製造設備に付着した残留物を次に製造する品目に混入させないことが重要である。製造の残留物の次製造品目への混入は、全ての設備・機器を洗浄し、清浄化することにより防止できる。」
 
 
8. PIC/S ガイドラインと国際整合性を踏まえた洗浄バリデーション
8.1 GMP省令における洗浄バリデーション
 平成25年、バリデーション基準が改められたが、洗浄バリデーションに関連する文書を引用・一部改編し解説する。 
 (平成25年6月14日パブコメ)
 
    『PIC/SのGMPガイドラインを活用する際の考え方については、平成24年2月1日付け厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課事務連絡「PIC/SのGMPガイドラインを活用する際の考え方について」により示されている。今般、PIC/Sガイドラインを踏まえた国際整合性を明確にするため、医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(平成16年12月24日厚生労働省令第179号。)について、今後、別添のとおり取り扱うことを検討しております。
つきましては、広くご意見を募集しますので、ご意見のある場合には、下記により提出してください。
PIC/SのGMPガイドラインを活用する際の考え方については、平成24年2月1日付け厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課事務連絡「PIC/SのGMPガイドラインを活用する際の考え方について」により示しているところである。
今般、PIC/Sガイドラインを踏まえた国際整合性を明確にするため、医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(平成16年12月24日厚生労働省令第179号。以下「GMP省令」という。)については、下記のとおり取り扱うこととし、その取扱いについての通知を発出する。』
 
 その後、平成25年8月30日に薬食監麻発0830第1号として発出されたが、この中の第4項 バリデーション基準で、新たな洗浄バリデーションの項が追加されている。すなわち、
ウ.洗浄バリデーション:洗浄作業が、有効成分及び洗浄剤等の除去に対して有効であることを確認し、文書化することをいう。残留物等の限度値は、使用する製造設備の材質、製品の安全性などの論理的な根拠に基づき設定しなければならない。また、バリデーションに使用する試験方法は、残留物を十分に検出することができるような特異性及び感度を有する妥当なものでなければならない。
 
第4 バリデーション基準
 
1.医薬品・医薬部外品GMP省令に規定するバリデーションについては、
(新)品質リスクを考慮し、以下の「バリデーション基準」に基づいて実施すること。
(旧)以下の「バリデーション基準」及び「バリデーション基準の運用について」に基づいて実施すること。
 
2.バリデーション基準
(新)実施対象:製造業者等は、原則、次に掲げる項目を対象として※に規定する バリデーションを実施しなければならない。
 

ア.設備
(製造設備、製造環境制御設備等を含む)、システム(製造用水供給システム及び空調処理システム等の製造を支援するシステムを含む)又は装置(計測器を含む。)
イ.製造工程
ウ.洗浄作業

 
(旧)実施対象:製造業者等は、原則として次に掲げる項目を対象として該当する製品の製造手順等のバリデーションを実施しなければならない。イ.及びウ.については、設備又は機器単位ごとに実施しても差し支えなく、また、ウ.については、合理的な根拠に基づき、指標となる成分のみをもって評価しても差し支えない。
 

ア.製造工程
イ.製造を支援するシステム
ウ.洗浄等の作業

 
※新設バリデーションの実施
ウ.洗浄バリデーション:洗浄作業が、有効成分及び洗浄剤等の除去に対して有効であることを確認し、文書化することをいう。残留物等の限度値は、使用する製造設備の材質、製品の安全性などの論理的な根拠に基づき設定しなければならない。また、バリデーションに使用する試験方法は、残留物を十分に検出することができるような特異性及び感度を有する妥当なものでなければならない。

 

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執筆者について

高平 正行

経歴 エイドファーマ 代表
NPO-QAセンター 理事 事務局長
1979年塩野義製薬(株)入社。製薬プラントの立上げ、医薬品製造管理者、合成研究等の製造業務を経て、品質保証部へ転出。信頼性保証本部 品質保証部 次長として、GMP統括管理、GQP品質保証業務(出荷判定、逸脱・品質不良、変更管理、苦情・回収)、国内外にある自社製品関連170箇所製造所のGQP/GMP/QMS/CMCの信頼性保証、医薬品・診断薬・医療機器製造所のGQP/GMP/QMS適合性監査などを約10年間統括する。また、医薬品医療機器総合機構一変・軽微変更、製品管理業務、国内外の医薬品品質保証ガイドライン等のカスタマイズ化にも従事する。
2011年12月より(株)エースジャパン 取締役 製品戦略担当。医薬品の原薬、中間体を中心とした品質保証、製造・試験、製造販売管理全般にわたり経営の視点から携わる。
2016年6月より現職。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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