バイオ医薬品とベンチャー【第6回】

2013/10/14 製剤

またまた経営学側面?
 最近の経営学は、戦略設計や財務改善より、心理面に重点を置いていると思います。会社といっても、所詮 人の集団。どうすれば、人が動いてくれるか?
そこで、リーダーシップ論、コミュニケーション論、モチベーション論が多くなっています。理論はおなかいっぱいなのですが、相手は人ですので理論通りにはいきません。
 
 社長を始めて1年くらいに、社長はどうすべきが悩んだ話をしましたが、当時は思いが空回りして、どのようにすれば社員が思ったように働いてくれるのか悩んでいました。社員も会社の方針がわからなくなっていました。次第に経営陣からも非難される状況になりました。
 その時、「社長にカリスマ性がないからだ」と非難をされたことが強く心に残っています。 カリスマ性とはなんだろうか? 社長はカリスマ性がないといけないのだろうか?カリスマ性はどのように身につくのであろうか? など考えました。これが経営学を勉強しだした発端です。
 当時は理論など全く知りませんでしたので、カリスマ性がない=リーダーシップがないとひどく悩んだものでした。
 
リーダーシップ理論
 リーダーシップ論の中に、特性論と行動論があります。乱暴に言ってしまうと、特性論は、リーダーシップは生まれもって身についているものだとする考え方で、行動論は、リーダーとしての行動を心がけることによってリーダーシップは生まれるという考え方です。
 
 コッターは、その著書においてマネージメントとリーダーシップを明確に分類しています。リーダーシップは強い信念に基づいた牽引力が必要であり、与えられた事業を正確に遂行するマネージメントとは異なるということです。
 私が社長という仕事に迷いがなくなったのもまさにそのような感覚でした。オーナーでもない、経験の浅い社長が会社を率いていれば、良い時であれ悪い時であれ非難は避けて通れない。非難をするのは、株主の時もあり、身内(社員)の時もあります。
ただし、理解されなくとも強い信念で会社を運行することが一番大切であると思いきった時に、初めて周りが見えてきたように思います。
 そこからは、比較的楽になり、ビジネスもうまくいくことが出てきました。
 結果が出てくると、自信が出てきます。そこで経営がうまいと思うようになって行きました。ただし、これは、私自身が経営がうまいわけではなく、私の能力に会った経営のスタイルを取ることができるようになったことと、外部(社員や投資家や顧客など)との折り合いの付け方がうまくなったからに他なりません。
 経営がうまいというのは、存在しないと思っています。以前も100通りの経営方法があると述べたように、良い悪いは経営には存在しないと思います。ただし、社員を苦しめ自我を貫く経営者は、結果を出しても周りを不幸にする経営者だと思うので、あまり良いとは思えません。

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執筆者について

渡部 博次

経歴 10年強、製薬会社にて細胞工学(バイオプロダクツ製造研究)を行った後、商社などを経てバイオベンチャー経営に携わる。基礎研究から臨床、ライセンス、財務、法務、営業にわたり企画開発を行うことによって、経営を再構築させることを得意とする。現在、大学にて「実社会に役にたつ経営学手法」をテーマに教鞭を行う。 ※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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