その数字って本当?(ニュースを透かして見てみる)【第6回】
■バイアスとアンケート
今回も引き続き、バイアスとアンケートの話です。調査に関して有名な逸話があります。
1936年のアメリカ大統領選挙は、ルーズベルトとランドンとの一騎打ちの様相を見せていました。その当時も、先駆けて大統領当選の予測を出そうと、大小様々な会社が調査を行っていました。その中でも、定評があったリテラリー・ダイジェスト誌は、自社の潜在読者名簿(自動車の購入者名簿)を駆使し、1千万人もの読者に郵送調査を行い、回答数237万人以上という調査数としては申し分のない回答を得ました。
その結果、ランドンの支持率を54%とし、ランドンの勝利を予測しました。一方、ギャラップと言う調査会社は、わずか3000人を調査し、ダイジェスト誌とは逆に54%の支持率でルーズベルトの勝利を予測しました。
結果は・・・ルーズベルトの勝利。
これは、『世論調査』吉田洋一・西平重喜著(岩波新書、1956年)に書かれて有名になった話です。
今まで調査は、n、つまりサンプルサイズが大きいほど精度が高いと述べてきましたが、ダイジェスト誌が行った237万というサンプルサイズに比較して、ギャラップが行った調査のサンプルサイズは、たった3000。なんとダイジェスト誌は790倍ものnを集めたにもかかわらず、どうして間違った結果を導き出したのでしょう?
ダイジェスト誌が、自動車購買層で且つ自社の読者名簿としてピックアップした調査集団は、いわゆる高所得者層でした。その当時、自家用車を所有できる層は、白人男性が主であり、その層が支持していたのがランドンでした。
一方、ギャラップが行ったのは、3000人の内訳を実際の選挙人の人種や所得層に合致するように調整するという方法でした。結果的に、このギャラップが行った母集団を代表する標本調査が優れていたという劇的なお話です。
いくらサンプル数が多くても、偏ったデータだと意味がないという教訓です。
さて、このギャラップという会社。この選挙結果を出すにあたって、開票前にThe NewYork Times誌上においてダイジェスト誌に果敢な挑戦状を叩きつけていました。
「もし今、ダイジェスト誌が世論調査を実施したらルーズベルト44%、ランドン56%くらいとして失敗するでしょう」
なかなか好戦的であります。ギャラップに負けたダイジェスト誌は、廃刊となってしまいますが、ギャラップも次の大統領選挙では、予測に失敗してしまいます。
失敗理由は、現在もよく見かける投票所の出口調査に「女性の調査官」を使ったこと。女性調査官がインタビューしやすい人ばかり選んだため(逆にインタビューしにくい人は避けた)と言われています。
この原稿を書いている時点では、参議院選挙前ですので、今後、各局が毎日のようにいろいろな角度から予測をするでしょうけれど、各局のカラーやポリシーも幾分か影響しているようで、「真実」といいますか「結果」に、どの程度近づけるのか興味が湧きます。
最近は、特に安全保障政策や現政権の政策志向、また近年顕著になった若者の投票にも注目が集まっていますが、その若年有権者の動向を確認したい場合は、どうするのが良いのかな?と考えたりします。(投票年齢も引き下げになることも影響して、いいアイデアは思いつかないのですけれど・・・)
今回も引き続き、バイアスとアンケートの話です。調査に関して有名な逸話があります。
1936年のアメリカ大統領選挙は、ルーズベルトとランドンとの一騎打ちの様相を見せていました。その当時も、先駆けて大統領当選の予測を出そうと、大小様々な会社が調査を行っていました。その中でも、定評があったリテラリー・ダイジェスト誌は、自社の潜在読者名簿(自動車の購入者名簿)を駆使し、1千万人もの読者に郵送調査を行い、回答数237万人以上という調査数としては申し分のない回答を得ました。
その結果、ランドンの支持率を54%とし、ランドンの勝利を予測しました。一方、ギャラップと言う調査会社は、わずか3000人を調査し、ダイジェスト誌とは逆に54%の支持率でルーズベルトの勝利を予測しました。
結果は・・・ルーズベルトの勝利。
これは、『世論調査』吉田洋一・西平重喜著(岩波新書、1956年)に書かれて有名になった話です。
今まで調査は、n、つまりサンプルサイズが大きいほど精度が高いと述べてきましたが、ダイジェスト誌が行った237万というサンプルサイズに比較して、ギャラップが行った調査のサンプルサイズは、たった3000。なんとダイジェスト誌は790倍ものnを集めたにもかかわらず、どうして間違った結果を導き出したのでしょう?
ダイジェスト誌が、自動車購買層で且つ自社の読者名簿としてピックアップした調査集団は、いわゆる高所得者層でした。その当時、自家用車を所有できる層は、白人男性が主であり、その層が支持していたのがランドンでした。
一方、ギャラップが行ったのは、3000人の内訳を実際の選挙人の人種や所得層に合致するように調整するという方法でした。結果的に、このギャラップが行った母集団を代表する標本調査が優れていたという劇的なお話です。
いくらサンプル数が多くても、偏ったデータだと意味がないという教訓です。
さて、このギャラップという会社。この選挙結果を出すにあたって、開票前にThe NewYork Times誌上においてダイジェスト誌に果敢な挑戦状を叩きつけていました。
「もし今、ダイジェスト誌が世論調査を実施したらルーズベルト44%、ランドン56%くらいとして失敗するでしょう」
なかなか好戦的であります。ギャラップに負けたダイジェスト誌は、廃刊となってしまいますが、ギャラップも次の大統領選挙では、予測に失敗してしまいます。
失敗理由は、現在もよく見かける投票所の出口調査に「女性の調査官」を使ったこと。女性調査官がインタビューしやすい人ばかり選んだため(逆にインタビューしにくい人は避けた)と言われています。
この原稿を書いている時点では、参議院選挙前ですので、今後、各局が毎日のようにいろいろな角度から予測をするでしょうけれど、各局のカラーやポリシーも幾分か影響しているようで、「真実」といいますか「結果」に、どの程度近づけるのか興味が湧きます。
最近は、特に安全保障政策や現政権の政策志向、また近年顕著になった若者の投票にも注目が集まっていますが、その若年有権者の動向を確認したい場合は、どうするのが良いのかな?と考えたりします。(投票年齢も引き下げになることも影響して、いいアイデアは思いつかないのですけれど・・・)
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