校正業務の豆知識【第11回(最終回)】

2014/05/22 施設・設備・エンジニアリング

 このシリーズも最終回を迎えました。これまで校正業務に必要な書類や作業標準書の作成、校正不合格時の処理など、校正業務とGMPとの関りについて概要を説明してきました。 今回は、実際に校正業務を進める上での留意事項について考えてみたいと思います。
 
1.国際単位系(SI)について
 国際単位系はメートル法の後継として国際的に定められた単位系であります。
SIの語源は、仏語のSystème International d'Unités(英語:International System of Units)の頭文字からとったもので、メートル法がフランスの発案であるという歴史的な経緯があります。日本語による正規の式名称は「国際単位系」であり、その正規の略称は「SI:エスアイ」であります。
このSI単位の使い方については、日本工業規格「国際単位系(SI)及びその使い方」<JIS Z8203-2000>で規定されています。
 
 (1) SI単位の仕組み
 SI単位の仕組みは7つの基本単位と組立単位(含む、補助単位)及び接頭語で構成されています。
 又、接頭語は10の整数乗倍として1024のヨタ(記号:Y)から10-24のヨクタ(記号:y)までの20種類があります。
 この接頭語については、106のメガ(記号:M)以上は大文字を使用し、103のキロ(記号:k)以下は小文字を使用することが規定されています。
 その他、SI単位の使用に当たっては、JISを参照することで細かい説明は省略します。
 
 (2) SI単位使用時の留意点
 SI単位普及のために通商産業省(現、経済産業省)が「新計量法とSI化の進め方:重力単位系から国際単位系(SI)へ」と題した小冊子を発行(1999年3月)してから14年余りが経過しています。
 しかし、現状を見てみますと各種書類、広告、テレビ及びトラックの重量表示等の表記で誤った単位や接頭語の使用が見かけられます。
 誤った使用例を表-1に示します。
 
 表-1:誤った単位の使用例

 例えば、電力のキロワットでは、接頭語の「k」が正しくは小文字ですが、大文字であったり、「W」に小文字を使った誤ちがみられます。
 秒の単位は小文字の「s」ですが、小文字や大文字で「Sec」など、誤って表記されていることもあります。
 SIの誤った使用についての罰則はありませんが、GMPに関する書類や取引・証明に使用される書類などでの誤った使用は避けるべきであると筆者は考えます。

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執筆者について

鈴木 利一

経歴 バリデーション、キャリブレーション、設備保全シニア エンジニア。
1964年、武田薬品工業(株)入社。医薬品生産施設の設計、工事監理業務及びGMPに係わるバリデーション、校正業務に従事。2006年に退社し、(株)大気社にて製造会社向け、製剤製造設備、空調設備に係わるバリデーション業務を担当、2010年退社。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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