【第21回】デジタルヘルスで切り拓く未来

不足する医療資源への対応を急げ
「不足する医療資源への対応を急げ」
●要旨
デジタルヘルスにおいて「手当て」を考えることは、人間らしい、温かな医療につながります。デジタルを支える技術は人間より優れているかどうかに目が行きますが、デジタル技術には弱点があります。医療資源の不足が深刻になりはじめた今、デジタルを使いこなす姿勢が重要です。デジタルヘルスの強みを活かすことで、高度先進医療だけではなく幅広いアンメットニーズにおいて、手の届く医療の実現が期待できます。そのためにも周辺のプレイヤーにも目を向けておきましょう。
●はじめに デジタルで手当てはできるのか
医療の最も基本的な表現は、「手当て」です。さて、デジタルで手当てはできるでしょうか。手当ては文字どおり、手を当てることです。デジタルのコアは無体物です。しかし、デジタルヘルスにおいては何らかの形で有体物とのつながりがあります。センサーとセット、手術計画に活用、時には症状ノートと連動します。リアルに人間の手を当てることではないかもしれませんが、なんらかのインターフェイスを介して気持ちの手当てをすることです。
そこにどんな心があるかでしょうか。セルフケアでも自らの思いやる気持ちや周囲からの配慮も含まれているでしょう。デジタルでなしうることは何か、どんな医療を提供するかを考えることは、不足する医療資源をどうするかを考える機会です。リアルに手当てをする人が近くにいないことも想定される時代となりました。
<図表> 手当てをする
1 デジタルの方が優っているか
人工知能の発達に関するニュースが続いています。性能を評価するために人間にとって難易度の高い問題を解かせることが行われます。その一つに医師国家試験がありますが、医師になるのに遜色のないところまで到達したようです。そして、医師を支える人工知能を応用した画像診断システムも普及の道を歩んでいます。見落とし防止だけでなく、発見していくこともあるでしょう。医師も人間ですから一様ではなく、得意不得意、疲れや加齢など様々な影響を受けます。さらには人口の不均衡によって医療資源の偏りを生じています。それでも適切な医療を提供していくにはデジタルの力を活用していく必要があります。今では、医師の代わりになることもできることを予感させています。デジタルの方が、人間より優っているのでしょうか。
医師と医療従事者の行為の全てをデジタルに置き換えることはできますか。「手当て」は、人間の本質からやってきます。誰かの見守りで安心したことは皆さんも経験しているでしょう。冷たい医療ではなく温かい医療がそこにあります。
人工知能などデジタルには大きな弱点があります。停電や通信障害がわかりやすい事例です。災害時等にどこまで対応できるかを考えてありますか。データを扱う以上、データをどこかに安全に置いておく必要があります。つまり環境整備もしっかり考えないといけません。サイバーセキュリティの問題もデジタル特有の課題です。
優劣よりもどこまでをデジタルとするか、人間の温かさをどう添えるか、考える時期が来ています。デジタルを使いこなすことが大切です。
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