校正業務の豆知識【第9回】

2014/03/10 施設・設備・エンジニアリング

 今回は、校正作業の結果で不合格が発生した場合の処理について考えてみたいと思います。校正不合格は、その製造工程の逸脱管理の一環として取扱い、GMP省令では、その記録を残すことを求めております。又、校正に使用した基準器・標準器の検査不合格の場合、これを用いて校正した計測機器の精度を保証することが出来ません。校正不合格及び検査不合格が発生した場合の処理の概要を説明します。
 
1.校正作業の意義
  校正作業の意義は、その計測機器の前保証と後保証を行うことであります。
  前保証:校正の結果が「合格」の場合、次回の校正まで、その計測機器を生産等に使用できることを意味し、一般的には有効日(有効期間)又は有効期限と呼びます。
  後保証:校正の結果が「合格」の場合、前回の校正から今回の校正の間、その計測機器が概ね良好であったと判断することが出来、この間の生産活動等を後保証することが出来ます。
 
  従って、後保証の考え方が重要となりますが、校正の結果が「不合格」の場合は、この後保証が出来ないため、何らかの措置が必要となります。
 
 (1) 必要書類
  措置のために必要な書類としては、「計測機器不合格連絡書」と「異常連絡書」が考えられます。
 
 (2) 措置の対象期間
  措置の対象期間は、計測機器が異常となった時期が特定できるか否かによって異なります。異常の時期が特定できる場合は、その異常発生以降が、特定できない場合は、前回の校正以降が措置対象になると考えなくてはなりません。

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執筆者について

鈴木 利一

経歴 バリデーション、キャリブレーション、設備保全シニア エンジニア。
1964年、武田薬品工業(株)入社。医薬品生産施設の設計、工事監理業務及びGMPに係わるバリデーション、校正業務に従事。2006年に退社し、(株)大気社にて製造会社向け、製剤製造設備、空調設備に係わるバリデーション業務を担当、2010年退社。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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