経皮吸収製剤 ~基礎から応用まで~【第8回】

8.貼付剤の製造方法
8.1 パップ剤の製造方法

パップ剤、テープ剤に代表される貼付剤の製造方法については、概略が日本薬局方解説書に記載されている。これによるとパップ剤は水溶性高分子化合物又はこれらの混合物を基剤とし、これに有効成分を溶解剤に溶解したもの、さらには増粘剤、軟化剤、結合剤、pH調節剤、吸収促進剤などを混和し、均質とし、その膏体を支持体もしくはライナー(剥離体)に展延して成形する。
パップ剤の製造方法については、松原が第18回日本薬剤学会製剤技術伝承講習会1) の中で平成18年度の医薬品管理者講習会で紹介されたパップ剤の承認記載整備における製造方法事例として紹介している。これによると製造工程の範囲は、有効成分溶液調製、練合、展膏・裁断、充てん、包装、試験・保管とあり、重要工程は有効成分溶液調製工程、錬合工程、展膏・裁断工程、充てん工程が示されている。

図12 パップ剤・テープ剤の製造の流れ

有効成分溶液の調製では、溶解方法、時間、温度などの条件が品質に影響を及ぼす。また薬物と溶解剤だけで不十分な場合は、界面活性剤などを用いる場合もある。パップ剤の場合は成分が多いため、あらかじめ予製液を何種類か準備する必要があり、その投入順序も重要になる。水溶性高分子化合物を添加する場合、精製水にいきなり加えると凝集物(ママコ)となり溶解時間が長く、また凝集物が残ったままとなり不均一になるため添加スピードなどに注意する必要がある。
更に機械を用いて撹拌する時に、撹拌におけるせん断応力が大きくなると水溶性高分子化合物の分子量が低下して所定の増粘効果が得られない場合もあることを考慮しなければならない。
錬合工程では各成分を投入し終わった後十分撹拌して膏体にするため、上記の留意点のほかに含量均一性を確認して塗膏前の準備を進める。結合剤等を投入後の膏体は経時的に固化するため、錬合からこの後の工程の塗膏・裁断に影響しないように、固化時間は十分検討する必要がある。

 

 

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