医薬品開発における非臨床試験から一言【第51回】
ICH M12へステップアップ
2018年には、日米欧における薬物相互作用(DDI)評価の規制方針が、それぞれの地域でガイドラインとして完成しました。これは、結論ではなく、日米欧のDDI規制に関するハーモナイズの始まりと考えられます。薬物相互作用試験に関するDDIガイドラインに対してICH M12の協議開始です。
ICHにおいて、2018年11月のシャーロット会合では、Informal Working Group の設置が、Management Committeeにより了承され、2019年6月に、M12 Informal Working Groupが設置されました。これより、Working Groupとして活動が始まり、2019年11月シンガポールで、Working Groupとして初の対面会合が催されました。
シンガポール会合では、Concept paperとBusiness planが、Management Committeeにより承認を受けて最終化しました。ICH M12のExpert Working Groupとしての活動開始です。まずは、Step1の文書の作成に向けて、作業方針を具体化することが必要となります。
ICHの新しいガイドラインは、5段階のプロセスによって合意されます。PMDAのホームページより引用しますと、
ステップ1では、新しい調和ガイドラインを作成する提案が、新しいトピックとして総会で承認を受けると、専門家作業部会が設置されます。専門家作業部会では協議を重ねて技術ドキュメント(ガイドライン案のベース)を作成します。上記のM12の場合に相当します。
ステップ2では、ステップ2a:として、技術ドキュメントの確認があり、ステップ1の技術ドキュメントが総会で承認されるとステップ2aとなります。
ステップ2b:として、ガイドライン案の採択があり、ステップ2aの技術ドキュメントをベースにしたガイドライン案が総会の規制当局代表者により承認されるとステップ2bとなります。
ステップ3では、ICHの各地域・国の規制当局(日本では厚生労働省)からガイドライン案が公表され、公に意見が求められます。寄せられた意見に基づいて専門家作業部会で協議が行なわれ、ガイドライン案が修正されます。いわゆるパブリック・コメントの募集です。
ステップ4では、ガイドライン案が総会の規制当局代表者によって最終的に合意、採択されます。これにより英文ガイドラインが公開されます。
ステップ5ではICHの各地域・国の規制当局において、それぞれの手続きにしたがってガイドラインが実施されます。日本では、厚生労働省医薬局から通知されます。この日本語ガイドラインは、理解されやすいように、英語から意訳されている部分もあります。別途に解説書も作成されます。
さらに、既存のICHガイドラインについても、科学技術の進歩の反映やガイダンス追加の必要がある場合には、改訂やQ&Aの作成などが行われます。こうした改訂や追加も総会の承認により決定されます。
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