固形製剤のスケールアップ【第2回】

2013/08/26 製剤

はじめに
 攪拌造粒の特徴は、高速で回転する主羽根(攪拌羽根、インペラー)と器壁とのせん断力によって練合を進め、副羽根(解砕羽根、チョッパー)によって練合物を粗砕して目的の粒度を得ようとする設備である。もともとはニーダーなどの練合機で練合したものをフィッツミルのような湿式破砕機で粒を得る方法を一つの設備で完了しようとしたものであるが、実際にはせん断力が強く、練合が速く進みすぎるため、副羽根による粗砕は期待したほど進まず、副羽根の効果としては実質的に投入した結合剤を分散させる程度の役割しか持たない。したがって、一般的には攪拌造粒機で造粒したものをさらに解砕機で湿式破砕する方法が多用されている。
 
1.攪拌造粒における品質に影響する条件因子
 攪拌造粒で出来上がる造粒物の品質としては、粒度分布、流動性、嵩密度などが重要なものであるが、この攪拌造粒において造粒物の品質に影響する条件因子は図-1に掲げる通りである。
 
 攪拌造粒における造粒物は、他の例えば流動層造粒品などと比べると顆粒は固く、成形には不利になる。したがって、打錠用顆粒を製造するのであれば、できれば成形性のよい、柔らかい顆粒を製造したい。造粒方法による顆粒の品質に関する一般的な評価は表-1の通りである。もちろんこれはあくまで相対的なもので、また造粒条件や対象製品によっては大きく異なる場合がある。
 
 攪拌造粒において、造粒物の品質に大きな影響を与える造粒条件の因子は主羽根の回転数、造粒時間、結合剤(特に液体成分)の量である。その他に副羽根の回転数や被造粒物の品温なども影響を与え得る。
 



-1 攪拌造粒における造粒物の品質に影響を及ぼす条件因子


-1 造粒方法による造粒物品質の一般的特徴

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執筆者について

服部 宗孝

経歴 個人コンサルタント(専門:固形製剤技術、レギュラトリー・サイエンス)
1970年山之内製薬(現アステラス製薬)入社。その後、生産技術研究所、製剤技術研究所勤務を経て2002年製剤技術研究所長。この間、生産技術、処方・製法開発、海外への技術導出、等を担当。2007年退社。
2008年東和薬品に顧問として入社。山形新工場の建設に係る。2013年退社。
業界活動としては、ISPE日本本部、理事、副会長、会長(2006-2007)を歴任。日本薬剤学会より製剤の達人の称号を受ける。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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