校正業務の豆知識【第2回】

2013/08/12 施設・設備・エンジニアリング

 前回は「法令と用語の説明」について記述しましたが、今回は「なぜ、校正が必要なのか」について考えてみたいと思います。
 
1.日常生活の場合
 私達の日常生活は、物の数量、大きさ、重さ、内容量などを専用の計測機器で数値化することで現代社会が成り立っていることは云うまでもありません。 日常生活に係る主な計測機器を表-1に示します。
 
表-1

 

 各家庭に取付けられた水道,ガス,電気の使用量を示す水道メータや電力量計があります。
台所には奥さんが料理を作る時に使用する計量カップやはかり、家族の健康管理に使用する体温計や体重計などがあります。
 又、外に出ればスーパーの魚や肉の売場でみかける秤やタクシーに取付けられたタクシーメータ、ガソリンスタンドでの燃料油メータなどがあります。
 表-1で示した水道メータや電力量計、タクシーメータ、スーパーの秤、燃料油メータなどのように、消費者である私たち顧客とスーパーなどの提供者の間で利害関係や金銭の受け渡しが発生する計測機器を、計量法では取引用として特定計量器と呼んでいます。
 このように私達は色々な計測機器によって数値化された中で日常生活を送っていますが、もしこれらの計測機器が狂っていたらどうなるでしょうか。
 特定計量器と呼ばれる取引に使用する計測機器と家庭で使用する体重計を例にとって説明します。
 はじめに、特定計量器であるスーパーで使用する秤が狂っていたらどうなるでしょう。
 
 
 皆さんがスーパーで秤売りの肉を買った時、その秤が少な目(例えば本当は100gなのに80gを示した時)に表示した場合、消費者である私達が「得」をし、提供者であるスーパーが「損」をすることになります。
 逆に、秤が多目に示した場合は、消費者である私達が「損」をし、スーパーが「得」をすることとなります。
 この場合、損をしたことが明らかな場合、皆さんはスーパーに対してクレームを付けるでしょう。
 タクシーメータの場合も同様で、夜遅くまでお酒を飲んでタクシーで家に帰る時を想定して下さい。
 財布の中身は2000円、これまで家の前までは丁度2000円だったのが、メータが多目に狂っていた場合は、家に辿り着けないことになります。

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執筆者について

鈴木 利一

経歴 バリデーション、キャリブレーション、設備保全シニア エンジニア。
1964年、武田薬品工業(株)入社。医薬品生産施設の設計、工事監理業務及びGMPに係わるバリデーション、校正業務に従事。2006年に退社し、(株)大気社にて製造会社向け、製剤製造設備、空調設備に係わるバリデーション業務を担当、2010年退社。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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