製薬メーカーにおけるコア人財の育成【第3回】

2013/06/03 その他

 1. 人事マネジメントと戦略「人事管理から人事マネジメントへ」
  1.1 人財育成マネジメント
 
 2000年代に入り、人事制度改革の大きな動きが見られた。この目玉の一つは、管理職の業務が「管理」から「マネジメント」に変わったことである。「管理」は「部下をコントロールすること」であり、「マネジメント」は「部下が働きやすくしてあげること」である。言い換えると「ヒトを引っ張っていくこと」から「ヒトの能力を引き出していくこと」へと大きく変わってきた。それまで「人材(Human Resource)」と呼んでいた従業員を「人財(Human Capital)」と言い換えたのは正にその象徴である。かつては、ヒトを資源の一つとして、要員配置などについて「最適化」を考えていたのだが、現在は、ヒトを財産として育て、その能力の「最大発揮」を考えるようになってきたのである。
 今回は、「人財能力の最大発揮」という観点から「人財育成マネジメント」について考えてみることにする。
 
●「人ザイ」マトリックス
 マインド(意欲・モチベーション)を縦軸、スキル(業務遂行力)を横軸にしたマトリックスで「人ザイ」を考えてみよう(図1)。

図1 四種類の人ザイ
 
 スキルもマインドも高い「人財」(5~10%)には、自身の片腕として仕事を目いっぱい任せることである。スキルはあるけど自ら手を挙げない追随者的な「人在」は、とくに中高年に多く、企業の80~90%を占める。彼らには、モチベーションを高める工夫が必要である。やる気があってもスキルが低い新入社員の様なビギナー的「人材」は、スキルトレーニングを徹底して実施する必要がある。最後は、組織に2~3%は必ずいるスキルもマインドも低い「人罪」である。モチベーションを上げると同時にスキルトレーニングを実施し、いくらやってもダメならお引き取り願う必要もある。この様に、相手によって接し方は変わって良いということである。まずは自分が、そして、部下が、このマトリックス上でどの「人ザイ」なのかを把握し、能力開発のポイントを絞って具体的なアクションに落とし込むことが重要である。

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執筆者について

熊谷 文男

経歴 筑波大学大学院客員教授、慶應義塾大学薬学部非常勤講師、東京薬科大学非常勤講師
1975年 中外製薬(株)入社。研究開発、プロジェクトマネジメント、人財育成などの業務を経験。米国駐在時には、国際開発も担当。国公私立大学、各種学会・セミナー、大手企業での講演や執筆は多数。現役水泳選手及びスキンダイビングインストラクター。製薬企業米国駐在員OB/OG会「アメリカファルマ会」会長、世界の難病の子供たちを救うNPO「荻田修平基金」 理事、就活支援組織「メディカルカレッジ」アドバイザリーボードメンバー、医薬品業界における「社会人基礎力研究会」アドバイザー、幼稚園理事長・園長、総合旅行業務取扱管理者、等。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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