製品回収事例から考える軽微変更と一部変更申請の判断の難しさとその対応

製品回収事例から考える軽微変更と一部変更申請の判断の難しさとその対応について。
製造販売承認書との齟齬で今もなお多くの製品が回収になっています。
「改正薬事法に基づく医薬品等の製造販売承認申請書記載事項に関する指針について(平成17年2月10日 薬食審査第0210001号)」
この通知が出て、製造販売承認書に製造場所、保管場所、外部試験機関、詳細な製造法を記載することになりました。また原薬の承認制度が変更になり製剤の承認書に詳細な原薬製造方法記載またはMF番号の記載に変わりました。この制度に伴い、外国製造業者認定、GMP適合性調査などが新たに追加されました。従来なかった手続きで、そのための作業が増えました。
「(7)本来軽微変更では行うべきでない製造工程の変更等に関して、軽微変更届出を行ったことがGMP調査の際に判明した場合にあっては、当該軽微変更届出は無効となり、薬事法違反を問われる可能性があること。この場合、既に変更後の方法により製造された製品又は既に製造販売された製品については、当該変更のリスク等に鑑み、出荷停止、回収その他の必要な行政上の措置がとられることとなる。なお、GMP調査の際にGMP調査当局が一部変更承認申請対象事項か否かの疑義を持った場合は、GMP調査当局は当該品目に係る審査当局に連絡すること。」
このように一部変更申請すべきところを、軽微変更届で対応すると、出荷停止、回収などの行政上の措置がとられると警告していました。当時これを見たとき「警告」と思って、出荷停止/製品回収まで行わないと思っていました。しかし、今はどんどん承認書との齟齬で製品回収しています。
承認書との齟齬ではいろいろなケースがあります。
2)知らない内に承認書違反の製造/試験を行っている。
3)軽微変更/一部変更申請の選択の判断ミス(グレーゾーンがある)
4)海外は日本独自のレギュレーションを知らないので、遵守できていない。
かつ製販は海外製造所まで十分確認できていない。
5)製造方法記載整備時の不備(記載ミス/記載解釈ミス/細かく書きすぎなど)
6)新規申請時の記載不備(不適切な記載:固有名詞記載など) など
これらをどう対応するかが製造販売会社(以下製販)に求められています。
今回、3)に関する製品回収があり、考察しました。
製品回収
1.販売名 : (1)ワイドコールクリーム20%(旧製品名)
(2)尿素クリーム20%「日医工」
2.対象ロット、数量及び出荷時期
ワイドコールクリーム20%(旧製品名)(25g×10)
約70ロット 約5万 2017年12月18日~~2020年4月14日
ワイドコールクリーム20%(旧製品名)(500g)
約20ロット 約7千個 2018年1月15日~2020年4月20日
尿素クリーム20%「日医工」(25g×10)
約90ロット 約7万個 2020年2月5日~2022年6月22日
尿素クリーム20%「日医工」(500g)
約20ロット 約7千個 2020年4月3日~2022年6月20日
3. 回収理由 回収開始日 2022年9月27日
平成28年5月30日付け軽微変更届において添加物1成分(セタノール)の分量を変更しましたが、当該変更は、承認事項一部変更申請の対応が必要な事項であることが判明しました。現在の市場流通品において、添加物の分量が承認事項と相違があるため、市場にある使用期限内の全てのロットを自主回収することと致しました。
【執筆者関連セミナー】
GMP/GQP/GDPを踏まえたQA担当者養成講座
2ページ中 1ページ目
コメント
/
/
/
この記事へのコメントはありません。
コメント