再生医療等製品の品質保証についての雑感【第32回】

QbDを意識した工程設計の考え方 (4) ~ 上流工程その3

はじめに
 上流工程の工程設計では、低分子医薬品のように有効性と相関する明確な規格を示すことは難しく、最終製品を単独で評価(ベリフィケーション)することが困難です。そのため、製造するプロセスの安定化検証は、特定の工程や方法において生じるアウトプットの再現性により評価・判断する必要があります。今回は、工程設計時のアウトプットの考え方とその測定についての雑感を述べます。


● 上流工程の工程設計時におけるCQA(重要品質特性)決定の考え方
 細胞加工製品は、最終製品の同定が困難で、有効性に直結するQAs(品質特性)を明確に示すことは難しいです。一般的に製品の有効性、すなわちQTPP(目標製品品質プロファイル)に合致するQAsから製剤(最終製品)のCQAに相当するものが決定されと考えますが、再生医療・細胞治療に関わる製品の場合、それらは臨床(治験あるいはベリフィケーション)を重ねなければ決定ができないと認識します。
 ここで、上流工程に含まれる培養プロセスの再現性と安定化を確保するためには、各工程のPPs(工程パラメータ)より生じるアウトプットであるインプロセスのQAsに関わる管理が不可欠となります。普通に考えれば、上記における製剤のCQA相当と共通するQAsより、原薬のCQAに相当するものが想定されるはずなのですが、細胞加工製品では、こちらについても治験あるいはベリフィケーション(期限付き条件付き承認)を経なければ、容易に想定することは難しいと考えます。
 一方で、原薬のCQAに相当するCQAの想定から決定までを適切に実施できなければ、自由に工程設計を行うことや、手順の変更(一変)に対応することは難しいと考えます。そもそもCQAあるいは想定するCQAが決定できなければ、工程設計された手順のバリデーションができません。
 開発段階から治験終了時までは、特定の製造方法およびその手順を含め、想定するCQAを決定し、治験品製造のPPsおよびDS(デザインスペース)を評価することで、想定するCQAとその工程およびPPsの理解を深めることが要求されます。そしてここでの工程理解は、以前にも概説しましたが、少なくとも現状では、そのまま承認後製品の製造に関わる一変の自由度に相当する可能性が高いと考えます。
 では、ここで言うPPsとは、培地交換や継代等の細胞加工に関わる工程のパラメータという認識で正しいのでしょうか?

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