医薬品工場建設のノウハウ -プロジェクトの成功に向けて- 【第7章-2】

試運転・スタートアップ(PJ Closing) 検収・管理権移転

医薬工場であれば、工事会社役務範囲の「OQ完了」で検収とすることが一般的である。前項で説明されているリーンクオリフィケーションアプローチ(LQA)ではFAT(制作工場試験)、SAT(現場試験)の記録をIQ/OQレポートに最大限活用するが、工事会社によってはValidationに精通していないので、その支援を期待できない場合もある。その場合はSAT完了で検収とし、IQ/OQではSATの記録を引用可能なところは引用し不足している検証項目は施主が改めて実施する場合もある。ただし、そのFATとSATの記録もGMP文書としての審査に耐えうるよう、試験立会人、試験項目、試験要領、合否判断基準、試験結果承認者の教育記録など求められる記録内容とその記述方法は、ほぼ通常のクオリフィケーション記録に求められる内容となることに注意が必要である。

試験項目そのものは、工事会社の役務区分によって異なるが、適正に検査できる会社であれば特に問題になることはないはずである。ただし、HEPAリーク試験など施主はOQの範疇と考えているが工事会社は認識していない場合もあるような項目については、工事会社引合時にその所掌を明確にしておくべきであろう。弊社の標準では、HEPA取り付け工事会社には当然その完全性保証の責任があるので、リーク試験もSATの項目として引合書に明記をしている。

さて、全ての試験が無事完了したら、検収・引き渡しの手続きに入る。通常の案件では施設の一部分のみの引渡を先行させ、順次その他の部分を引き渡し、結果的に全体の引渡が完了するという手順を踏む場合が多いと思うが、ここでは、契約条件としてどう考えるべきかを主に説明する。実際の運用は契約条件どおりにはいかない場合もあり得るので、必要に応じてCMr(コンストラクション・マネジャー)のような専門家のアドバイスを得ることを推奨する。
 

 

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