医薬品,医療機器滅菌の新しいトレンド“放射線滅菌”【第8回】
医薬品や医療機器の製造環境は、微生物や異物の混入による品質を損なうことのないよう適切な管理が必要です。日本薬局方第16改正、第一追補には、無菌医薬品製造区域の環境モニタリング法が規定されています。製造環境によって無菌性保証を行う無菌操作法や最終滅菌法を行う製品の場合であっても、製品の無菌性保証の観点から環境微微生物管理の重要性は言うまでもありません。本稿では環境微微生物管理の重要性と安定な管理をする方法を紹介します。
医薬品や医療機器の製造環境管理は、製品の品質の中でも無菌性、無塵性などを保証する上で重要です。そのためには、微生物や異物、塵埃などの汚染防止が可能な製造設備、空調設備を維持管理すること、および規定された清浄度に対する環境モニタリングシステムの構築が必要です。また、環境管理基準は製品のリスクに応じて設定されています。
本稿では環境微生物管理に重点を置いている関係で空中微粒子測定は記載していません。
1. 無菌医薬品、無菌医療機器の環境微生物管理
無菌医薬品、無菌医療機器を製造する上で、製造区域の清浄度が維持管理されていることは重要です。そのために実施される微生物管理は特に重要な要件です。また、製造工程で無菌性を保証する無菌操作法においては、事務連絡「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」および「最終滅菌による無菌医薬品の製造に関する指針」が通知され、環境モニタリングの必要性とガイドラインが示されています。無菌医療機器については、現状ではQMSおよび日局に準拠することと、ISO14644-11) による製造区域の清浄度の維持管理が要求されています。
2. 微生物環境モニタリング
2.1 環境モニタリングの目的2)
環境モニタリングの目的は、製造環境(管理区域)の清浄度が悪化することを事前に予知することで、製品の品質に与える影響を防止し、製品の無菌性、無塵性などを保証することにあります。そのために、環境モニタリングプログラムを設定します。プログラムは、適正なモニタリングの位置、頻度、タイミング、方法を選定し、対象微生物に適したサンプリング装置、培養条件を検討した上で測定し、評価基準によって判断します。また、リスクマネジメントによって、製品のリスクや汚染されるリスクの高い場所を選定するなどが重要です。
環境モニタリングは、無菌医薬品、滅菌医療機器など、製造環境に清浄度管理を要求された製造区域の微生物学的管理が適切に維持されていることを保証するために、環境、設備及び作業員に対して行います。環境モニタリングによって、サンプリング計画に従い、適切なサンプリング装置を用い、原則として通常の作業下で実施します。また、微生物の捕集、培養、計数、評価方法は、モニタリング目的、対象物、検出対象微生物によって異なるので、目的、対象物等に応じた適切な方法の選択が必要です。
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