ICH Q7(原薬GMP)の最新の規制動向-Q11、EMA Q&Aを踏まえて-【第1回】

2016/01/21 製造(GMDP)

1 ICH Q7A原薬GMPガイドライン発出の経緯とその後の規制動向について
 
はじめに
 ICH Q7A 原薬GMPガイドラインは、1999年10月の日米欧医薬品規制調和国際会議(ICH)ワシントン会議(Draft5の検討)の後、2001年11月3日、日米欧3極合意により、「ICH Guidance for Industry、 Good Manufacturing Practice Guide for Active Pharmaceutical Ingredients、 August、 2001」として世界に発出された。この日は、原薬GMPとして始めて本格的国際調和が図られた画期的な日となった。
 日本においては世界発出の1日前の平成13年11月2日、厚生労働省医薬局長通知「原薬GMPのガイドラインについて」として、また同日の「原薬GMPのガイドラインに関するQ&Aについて」(事務連絡平成13年11月2日)として通知された。本ガイドラインは、ICHで作成された原薬GMPに関するガイドラインである、ICH Q7A(原薬GMPのガイドライン)の和訳版である。今日、このICH Q7Aは番号が変更となりQ7と呼ばれ、また、PIC/SのGMPのパートⅡ(原薬編)に、そのまま採用されている。
 
1)原薬GMPガイドラインの目的
 本ガイドラインは、医薬品の有効成分(原薬:API)に係る「医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準」に求められる、適切な品質マネージメント体制のもとでの原薬生産について、その標準的なあり方を示すものである。
▷ 適切な品質システムの下で、APIが製造されるための医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準となること。
▷ 医薬品の品質や純度を達成することの助けとなること。
 
2)本ガイドラインの取り扱い
 本ガイドラインは、日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)の合意に基づき、原薬の製造管理及び品質管理(以下「GMP」という。)に関する要求事項について、その標準的なあり方を示したものである。
 なお、本ガイドラインに示された方法とは異なる方法であっても、GMP法規等に適合し、製造する原薬の品質が十分に保証されている場合には差し支えない。「すること」とは、本ガイドラインの適用が不可能である場合、または、少なくとも同等レベルの品質を保証できると実証された代替手法が存在する場合でない限り、本ガイドラインの適用を期待する勧告であることを意味する。つまり、ほぼ要求事項である。適用が不可能なら同様なレベルの品質保証を実証した代替手法を示す必要がある。
 

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執筆者について

高平 正行

経歴 エイドファーマ 代表
NPO-QAセンター 理事 事務局長
1979年塩野義製薬(株)入社。製薬プラントの立上げ、医薬品製造管理者、合成研究等の製造業務を経て、品質保証部へ転出。信頼性保証本部 品質保証部 次長として、GMP統括管理、GQP品質保証業務(出荷判定、逸脱・品質不良、変更管理、苦情・回収)、国内外にある自社製品関連170箇所製造所のGQP/GMP/QMS/CMCの信頼性保証、医薬品・診断薬・医療機器製造所のGQP/GMP/QMS適合性監査などを約10年間統括する。また、医薬品医療機器総合機構一変・軽微変更、製品管理業務、国内外の医薬品品質保証ガイドライン等のカスタマイズ化にも従事する。
2011年12月より(株)エースジャパン 取締役 製品戦略担当。医薬品の原薬、中間体を中心とした品質保証、製造・試験、製造販売管理全般にわたり経営の視点から携わる。
2016年6月より現職。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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