ICH Q9(品質リスクマネジメント)と品質の新しいパラダイム
"2014年7月1日、日本(厚生労働省、医薬品医療機器総合機構、および都道府県のGMP査察組織)はPIC/Sの正式なメンバーとなった。その加盟への取り組みの中で現行のGMP省令および施行通知とPIC/SのGMPガイドラインのギャップが分析され、その結果、以下の6点に関して“国際的な整合性を明確にすること”が必要となり、『医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令の取扱いについて』(平成25年8月30日 厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長 薬食監麻発0830第1号)が発出された。
ギャップの一つとして取り上げられ、活用が認められるようになったのが品質リスクマネジメントである。品質リスクマネジメントの適切な活用により、企業と規制当局間でコミュニケーションを通して信頼と理解を促進する機会が提供されたこととなる。本稿の目的は、製薬企業がこれを継続的改善を促進する好機と捉え、品質リスクマネジメントを有効に活用できるよう、ICH Q9が検討された経緯を再確認することである。(図 1)*
*:本稿の図は全てブリーフィングパックをもとに作成した。
図 1
1. Qシリーズ(ICH)の始まり
1-1 米国のGMPイニシアテチブ
2002年当時、米国FDAは承認の変更申請が増大し、労力とコストの増加が極限状態にあった。このままの状態を続けると医薬品の監視業務に滞りが発生し、国民に重大な健康危害を及ぼしかねないとの懸案があった。そこで解決策とし、8月に生産科学、リスクベースの規制手段、品質システム、および公益の追求をテーマとして、21世紀に向けたcGMPの新たなイニシアチブを発表し、2004年9月に最終報告書をまとめた。
イニシアチブは以下を目的としている。科学に基づくリスクベースの品質システムを強化することにより、重点領域に労力とコストを集中する取り組みである。
また、将来の医薬品規制の実施に向けた取組みには以下があげられた。
・バリデーションおよび適格性評価
・年次レビュー(製品品質の照査)
・安定性モニタリング
・参考品
・原材料等の供給業者(サプライヤー)の管理
・品質リスクマネジメントの活用
・年次レビュー(製品品質の照査)
・安定性モニタリング
・参考品
・原材料等の供給業者(サプライヤー)の管理
・品質リスクマネジメントの活用
ギャップの一つとして取り上げられ、活用が認められるようになったのが品質リスクマネジメントである。品質リスクマネジメントの適切な活用により、企業と規制当局間でコミュニケーションを通して信頼と理解を促進する機会が提供されたこととなる。本稿の目的は、製薬企業がこれを継続的改善を促進する好機と捉え、品質リスクマネジメントを有効に活用できるよう、ICH Q9が検討された経緯を再確認することである。(図 1)*
*:本稿の図は全てブリーフィングパックをもとに作成した。
図 1
本稿で扱うQシリーズとはICH Q8、Q9、およびQ10が中心だが、以降に発出された関連Qガイドラインも基本的な考え方は同様である。
1-1 米国のGMPイニシアテチブ
2002年当時、米国FDAは承認の変更申請が増大し、労力とコストの増加が極限状態にあった。このままの状態を続けると医薬品の監視業務に滞りが発生し、国民に重大な健康危害を及ぼしかねないとの懸案があった。そこで解決策とし、8月に生産科学、リスクベースの規制手段、品質システム、および公益の追求をテーマとして、21世紀に向けたcGMPの新たなイニシアチブを発表し、2004年9月に最終報告書をまとめた。
イニシアチブは以下を目的としている。科学に基づくリスクベースの品質システムを強化することにより、重点領域に労力とコストを集中する取り組みである。
・製薬業界が新しい技術的進歩を早期に採用することの推奨
・業界において、品質システムによる取組みの実施を含む近代的な品質
マネジメント技術が、全ての医薬品製造と品質保証の場において適用
されることの推進
・業界と規制当局がともに重要な領域に焦点をあてるために、リスクベース
による取組みを実施することの推奨
・規制当局の審査、適合性確認および査察ポリシーが製薬科学の最新技術を
ベースとすることの確保
・米国FDAにおける医薬品品質規制プログラムに一貫性を持たせ、協調させる
ことの確保、一つには、規制当局の審査および査察活動に関わる業務プロセス
および規制ポリシーに、更に強化された品質システムによる取組みを取り
入れること
・業界において、品質システムによる取組みの実施を含む近代的な品質
マネジメント技術が、全ての医薬品製造と品質保証の場において適用
されることの推進
・業界と規制当局がともに重要な領域に焦点をあてるために、リスクベース
による取組みを実施することの推奨
・規制当局の審査、適合性確認および査察ポリシーが製薬科学の最新技術を
ベースとすることの確保
・米国FDAにおける医薬品品質規制プログラムに一貫性を持たせ、協調させる
ことの確保、一つには、規制当局の審査および査察活動に関わる業務プロセス
および規制ポリシーに、更に強化された品質システムによる取組みを取り
入れること
また、将来の医薬品規制の実施に向けた取組みには以下があげられた。
・リスクベースのアプローチ
・品質システム・アプローチ
・当局内での規制上の協調強化
・国際協力
・cGMP要件の分析
"・品質システム・アプローチ
・当局内での規制上の協調強化
・国際協力
・cGMP要件の分析
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