現場管理者・監督者へのメッセージ(GMPの3原則から)【第8回】
6.原則(2)「医薬品に対する汚染および品質低下を防止する」について
次にGMP3原則の「原則(2)」について考えてみよう。
先ず初めに、医薬品の交叉汚染の防止という観点からは、構造設備の分離、作業室の分離、機器の専用化など、製品の特性(例えば、飛散しやすく過敏症のある製品、無菌製品、強い生理活性、微生物由来、人/動植物由来、遺伝子組換え、細胞毒性、など)によって、"構造設備基準"を定めておく必要がある。これらの基準の判断については、GMP省令第9条「構造設備」、23条「無菌医薬品の製造所の構造設備」、26条の「生物由来医薬品等の製造所の構造設備」や、また、PIC/S-GMPガイドChapter3「PREMISES and EQUIPMENT(構造・設備)」を参照願いたい。
また、無菌製剤の製造では、人や環境からの汚染防止という観点からアイソレーターシステムやRABS(Restricted Access Barrier System)の関心が高い。人や環境からの汚染防止や無菌性保証に有効な手段であろう。厚生労働省医薬食品局の監視指導・麻薬対策課の「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」の第19項に指針が示されているので参照願いたい。
<どこから汚染>
この第6項では、医薬品製造所における全般的な医薬品汚染リスク(交叉汚染を含む)について考えてみたい。
医薬品に対する汚染は以下のような要素が考えられる。
(1)人から :生物由来(毛髪/皮膚/血液/唾液/人由来菌)、作業服の繊維、更衣・入室手順
(2)作業室/構造から:床/壁/天井の清浄化不良(異物、異種製品・原料)、粉塵飛散
(3)設備から:切替洗浄(異物、異種製品・原料)、機械油漏れ、部品の摩耗異物、
シール・パッキン材などの摩耗劣化脱落
(4)環境空気から:空中浮遊微粒子・異物、浮遊菌(無菌製剤)
(5)用役関連から:製造用水、クリーン蒸気、圧空など
(6)原料から:原料中の異物、原料梱包材の付着異物
(7)材料から:バイアル、アンプル、瓶、ポリ袋、PTPフィルム(一次包装材料)
(8)防虫対策:飛来虫、歩行虫 (および防鳥、防鼠)
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