ASEAN諸国における規制課題とビジネストレンド【第4回】
ASEAN の規制対象となるヘルスケア産業に関する4回目の記事は情報技術とコンピュータシステムバリデーション(CSV)領域に関わる要件と進捗に着目する。CSVは重要なPIC/S 要件で、しかも新規なものであり、ASEAN 製薬メーカーにとって、それを理解且つ実施することは大きな課題である。この前の記事で、地域にある地元、地域メーカー及び多国籍企業の法規コンプライアンスの違いに着目してきたが引き続き、ITインフラ、CSV実践及びチャレンジなどについて、これらのプレーヤーを紹介する。
コンピュータシステムバリデーション(CSV)の簡単な歴史
これまでのCSVに関する重要な査察の指摘事項
•1991 US FDAは欧州のグラクソとICIファーマの工場を査察した(初めてのコンピュータシステムに関する指摘-システムはバリデートされていない)
•1992 US FDAはUKのICIファーマの工場を査察した(原材料の識別に使うバーコードの使用に関する指摘-OKだったが、システムのバリデーションは必須)
•1997 US FDAはグラクソの工場を査察した(全ての逸脱が是正されるまで新製品はFDAに承認されない)
•2000 US FDAはファルマシアを査察した(MRP, LIMS及びネットワークに関する指摘を提出した-十分なバリデーションは実施されていない)
•2000 US FDAはノボ ノルディスクを査察した(ネットワークに関する指摘を提出した-特定されてない且つテストされてない)
•2006 US FDA, USAで最初のコンピュータバリデーションに関する指摘
1997年、US FDAはグラクソの役員会にレターにより、UKにある製造工場の査察で見いだされた逸脱を指摘した。指摘は自社開発のMRP/ LIMSシステムに関するもので、次の3点を強調した。1)コンピュータシステムはバリデートされていない、2)提出された回顧的バリデーションの文書は適切ではない、及び3)システムに対して、変更管理/構成管理は実施していなかった。グラクソはUS FDAから、逸脱が改善されるまでは全ての新製品の申請は承認されないと記載されたレターを受け取っている。欠陥を改善する措置として、グラクソは新しい世界規模のERPでレガシーシステムを入れ替えたがこれは非常に高いコストを要する膨大なプロジェクトである。
上述した簡単な背景と歴史上の事例から、CSVはEUとUSの医薬製造に15年以上に影響を与えてきたことが明らかである。これは高度な専門化課題で、適切な方法を見つけ、法規を運用し、且つ規制上の期待を満足させるために、法規と関連技術に関わる理論知識と実践経験が必要とされる。
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