再生医療等製品の品質保証についての雑感【第71回】

「課題解決のための運用の重要性」を述べる。
第71回:細胞製造の品質マネジメントシステム (1)
~ 課題解決のための運用の重要性 ~
はじめに
GMP運用などの基本となる、品質マネジメントシステム(QMS)は、製造業への適用において、ルール(基準・順序・判断)を厳格に定め、それを守らせることが目的となります。それはそれで間違っていないですが、再生医療等製品の製造のように、教科書が無く、製品特性や工程特性に対する理解が十分ではない、未熟な製造分野では、QMSの運用を円滑に進めることは困難が生じます。他方、マネジメントシステムとは、本来、そのようなルールを守ることではなく、「組織としての目標を決める」「リスクを評価する」「定期的に取り組みを見直す」といった新しい運用システムの構築や、それに係る戦略が主です。特に、細胞製造のような新規(未知)の分野においては、新しいシステムのフレームワークを構築するに至るまでの課題解決が重要であり、適切なマネジメントシステムの運用が必須と考えます。
昨年中にお話しをした、クオリティバイデザイン(QbD)アプローチを活用した製品開発(製品設計および製造工程開発)は、このような、全体のマネジメントシステムの考え方において、課題解決のために活用することが前提です。また、未熟な製造工程を安定化に導くためには、同様に、課題解決のための運用が必須となると考えます。
今回より、目標の品質を達成して製品を実現する、細胞製造の品質マネジメントシステムの構築について、諸処の課題解決に向けた運用の考え方を踏まえ、雑感を述べていきます。
我々が行うQbDに関わるAMED事業(ACEプロジェクト)では、このような課題の解決に向けて、加藤竜司先生(名古屋大学)が、FIRMと連携し、日本産業標準(JIS)『細胞製造マネジメントシステム(JIS Q 2101)』の公布など、標準化活動を行っています。余談ですが、これらの活動について紹介する場として、2025年3月24日(月)に、「細胞製造標準化促進セミナー ~JISQ2101の理解と活用~」を開催します。本セミナーは有料となるので、是非ご参加くださいとは言いませんが、ご興味ございましたらコンテンツをご一覧いただければと存じます。
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