ラボにおけるERESとCSV【第123回】

国内におけるデータインテグリティ観察所見を引き続き解説する。
FDA 483におけるデータインテグリティ指摘(93)
7.483における指摘(国内)
前回より引き続き、国内企業に対するFDA 483に記載されたデータインテグリティ観察所見(Observation)の概要を紹介する。
■ YYYY社 2023/9/15
施設:原薬工場
ラボの管理が不適切である。
「分析の適格性を評価することがあるのでテスト完了したサンプルを保存している」とのことであるが、これは大変よいことである。FDAのOOSガイダンスの抜粋概要を紹介するので★印部分を参照されたい。ただし、使用したサンプルの保存に関する規定がなかったので指摘されている。その規定には以下などの記載が必要であろう。
・ 誤使用防止方法
・ 汚染防止方法
・ 保存方法
・ 保存期間
・ 破棄のタイミング
Investigating Out-of-Specification (OOS) Test Results for Pharmaceutical Production
2022年5月改定
フェーズ1 ラボの調査
✓ 測定における異常
✓ 製造における異常
可能であれば、テスト調製を廃棄するまえに初期評価する★
✓ サンプル調製を維持★
✓ 上司に報告
「ガスクロマトグラフのソフトウェアとハードウェアが更新されたが、理論段数を計算する前に実運用されてしまった」との指摘である。筆者は分析経験はないがこの指摘を以下のように解釈している。
理論段数
理論段数とはカラムの性能を表す指標である。この数値が高ければ高性能なカラム、つまり分離性能の良いカラムであるといわれる。性能のよいカラムとは、カラム内でのピークの広がりが小さい。同じ装置であっても運転条件や分離しようとする物質によって理論段数は変化する。
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