医薬品開発における非臨床試験から一言【第63回】

2025/03/14 非臨床(GLP)

全身オートラジオグラフィーの進化

全身オートラジオグラフィーの進化

本稿の第18回において、ラットを用いた全身オートラジオグラフィー(WARG: Whole body Autoradiography)の標本作成を取り上げ、定量オートラジオグラフィー(QARG:Quantitative Autoradiography)を解説しました。今回は、さらに14C-標識体を特殊な方法で投与したWARGを幾つか示します。次に、技術的に難しい3H-標識体の投与によるWARG作成を取り上げました。

14C-標識体を投与した場合のWARGについて、

  • ラットを用いた経皮投与では、エーテル麻酔で致死後に投与部位をCMC溶液でコーティング後、凍結して包埋し切片作成を行いました。投与部位に高濃度の14C-標識体があるため、切片作成時に14C-標識体の汚染が広がりやすく対策に苦労しました。
  • 14C-標識薬を眼球へ点眼したWARGも作成しました。わかり易くても、あまり見栄えのしない眼の画像となりました。
  • 14C-標識液剤の持続静脈内投与では、数時間程度まではラットをボールマンケージに固定して尾静脈から投与しました。毎日の反復投与も可能です。さらに1週間程度までの長期持続静脈投与では、静脈投与用のカテーテルを頸静脈に留置し、飼育ケージにフリームービングの環境で14C-標識液をポンプで持続投与しました。中心静脈内栄養管理によるラット病態モデルのWARGを示します。

 

 

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執筆者について

内藤 真策

経歴

兵庫県出身。元(株)大塚製薬工場 研究開発部員。
医薬品開発における薬物動態からの安全性評価を専門とし、光学活性体の薬物動態、mRNA変動による肝臓の酵素誘導、薬物相互作用などの分野に注力してきた。京都大学で学位取得。現在は信頼性の基準について議論。
製薬協基礎研究部会では長年に渡り副部会長を務め、薬物動態分野のレギュラトリーサイエンスを牽引した。徳島大学客員教授、薬物動態談話会常任幹事、日本薬物動態学会および日本毒性学会の評議員を務めている。
論文は英文97報、総説3報を執筆し、共著では「ファーマコゲノミクスの進歩と創薬科学への応用」、「代謝物の安全性評価における投与量設定と投与経路選定」、「探索段階を含む非臨床と臨床段階での非GLP 試験の効率的実施事例」など10編を数える。薬剤師、趣味は写真撮影・ドライブ。

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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