【第2回】電気/電気設備のなぁぜなぁぜ

第2回を担当しますのは(株)シーエムプラス 電気エンジニアの國分(コクブン)と申します。素材メーカーのインハウス電気・制御エンジニアを振り出しに、生産設備、プラント建設、発電事業など30余年電気、制御関係に携わっております。

今回は 電気についての基本、電圧・電流・電力などについての簡単な解説です。

①  電圧、電流、電力の関係
電気について基本的な概念を紹介します。まず、電圧(でんあつ)についてです。これは電気を押し出す力のようなものと考えてください。次に電流(でんりゅう)ですが、これは実際に流れる電気の量を指します。イメージとしては、水道管の中を流れる水の量を思い浮かべてください。最後に電力(でんりょく)は、電気がどれだけ仕事をするか、すなわちエネルギーの大きさを示します。

数式で表すと、電力は電圧と電流の掛け算で求められます。

[ 電力P(W:ワット)= 電圧V(V:ボルト) X 電流I(A:アンペア) ] ・・・式(1)

例えば、100ボルト(V)のコンセントに1アンペア(A)の電流が流れているとき、そのコンセントの電力は100ワット(W)になります。電力は日常的にはワットで表されることが多いです。

家庭の電気製品を使うときに、いくつかの製品の電圧や電力について考えてみましょう。

1)   エアコン:100V の電圧で1500W (ワット) の電力を消費する場合、
電流は上記の式(1) から [ 1500W = 100V X 電流I ] なので、電流は 1500W÷100V=15A (アンペア) になります。

2)   照明器具:例えば、20W の照明灯なら、同じく 100V のコンセントを使用すると、同じ様に計算して電流は 0.2A になります。

これらの値は実際には製品ごとに異なることがありますが、基本的な原理は同じです。これにより家庭で電気を安全かつ効率的に使うための理解が深まるでしょう。

例えば家庭での電気のアンペア契約で同時に使用したアンペア合計が契約内に収まっているかどうかの目安になります。
上記1)のエアコン1台、照明器具5台で15A+0.2A x 5=16A、契約が30Aなら契約内に収まっています。同様にエアコン2台、照明5台なら 15A x 2+0.2A x 5= 31Aとなり、契約超過となり、最悪違約金発生もしくはホーム分電盤のブレーカがトリップしてしまう場合があるかもしれません。特に大容量の電化製品を追加したい場合など気を付けてくださいね。

②  電力についてWとVAの関係
さて、電力にはW(ワット)とVA(ボルトアンペア)という単位があります。この違いですが、ワット(W)は実際に有効に使える電力を示し、ボルトアンペア(VA)は電圧と電流を単純に掛けた値になります。両者は似ていますが、異なります。

簡単に言うと、W(ワット)は「実際に使える電力」 有効電力、VA(ボルトアンペア)は「理論上使える電力」と考えると分かりやすいです。特に、電力消費が多い機器やシステムを設計するときには、この違いが重要になります。

③  力率について
力率(りきりつ)という用語も出てきます。これは電力がどれくらい効率的に使われているかを示す指標です。力率の数値は0から1の間で表され、1に近いほど効率が良いことになります。

例えば、力率が0.8の場合、使っている電力の80%は実際に仕事をするが、20%は無駄になっているということです。力率が高いと効率的に電力が使われ、無駄が少ないので経済的です。

具体的な例を用いるとより分かりやすいかもしれません。例えば、コンピューターの電源ユニット (PSU) を考えてみます。仮にある PSU が500Wの出力を持ちますが、これは有効電力(W)です。一方で、この PSU の定格が500VAだとすると、力率 (先に説明した効率を示す指標) が 1 に近い場合は、500W として使える電力も近い数値になります。

仮に力率が0.8であれば、500VA の電力を持つ PSU は 400W (500VA x 0.8) の有効電力しか供給できません。そのため、電力値を選ぶ際には、VAだけでなく力率を考慮することが重要です。

企業など大規模な電力を使用する場合、力率を改善することで電力コスト削減や機器の寿命延長につながります。

 

 

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