【第15回】デジタルヘルスで切り拓く未来

2024/08/30 医療機器

介護福祉とデジタルについて。

「介護福祉とデジタルについて。」


●要旨
 介護福祉施設は、私たちの誰にとっても身近な施設です。働き方改革や人口構成の変化を背景に、テクノロジー導入が必要です。冷たいと思われがちなテクノロジーについて、今もなお、導入に対する意識改革が必要である一方で、先端技術が磨かれている現場でもあります。地域包括ケアシステムを俯瞰すると、情報の共有には課題が見つかり、デジタルヘルスのテクノロジーが役に立つ可能性があります。

●はじめに 介護福祉施設のまなざし
 地域包括ケアシステムは日常のものとなり、医療を取り巻く環境は変化しています。医療が暮らしに結びつき、生きていく支援も大切です。福祉は他人事ではなく、どんな人にも関係があり、大切なものです。筆者も転んで手首を骨折した際には、福祉について真剣に考える機会でした。また、家族のことも状況が変化していくものです。SDGsに示されているとおり、誰一人取り残さないことは、持続できる社会として大切な要素です。しかしながら、人的資源に課題を抱え、サービスの偏在も顕著になってきた今日では、効率も大事にしなければなりません。
 最近の介護福祉施設はテクノロジー導入にも強い関心を持っています。これは二つの面があります。サービスの受ける人々へのまなざしと、働く人へのまなざしです。

<図表> 介護福祉の世界とテクノロジー

1 テクノロジーへの抵抗感は誰が作っているのか
 テクノロジーを導入するにあたっては、コストがかかるし、覚えるのが大変、使いこなせるか不安、という声がある一方で、働く人の労働衛生が向上することで離職がなくなり、導入コストよりも多くのコストダウンができた、ということも聞かれるようになりました。最近では、安全性の向上とともに、すぐに使いこなせるものも増えています。働く人の腰痛などの問題も一般社団法人日本ノーリフト協会の皆さんが熱心に取り組んでいます。
 テクノロジー導入に抵抗しているのは、利用者さんや働く人ではなくて、それを取り巻く外側の人たちかもしれません。利用者を抱え上げるのに、ロボットにやらせるなんて失礼だという批判がその例です。新しいことを覚えることや見ることに抵抗がある人もいるように感じます。しかし、働く人の数は足りなくなってしまいました。そして、利用者さんは導入されたロボット達に対して気兼ねをしません。

 

 

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執筆者について

吉川 典子

経歴 特定非営利活動法人医工連携推進機構 客員研究員 医工連携コーディネータ協議会会員
大阪大学大学院薬学研究科博士前期課程にて生物学的人工肝臓をテーマに研究を行った後、製薬会社に入社し、開発企画実務を経験。兵庫県庁薬務課を皮切りに、保健衛生行政に携わる。政策研究などの経験も多い。医療機器センター調査部(PMDAの前身)にて、審査行政に関与。先端医療振興財団にて、振興業務に従事。神戸大学大学院医学研究科にて、プロジェクト支援を行った。また、各地の振興組織、大学研究機関での支援を長年行っており、医療従事者の目線を活かしたコラボ、参入促進や新規性の高い医療技術への支援に強みがある。
デザインに強い関心があり、京都造形芸術大学に在学中。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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