【第12回】マイナスからはじめる生物統計学

2024/08/23 その他

大橋 渉

対応のある(関連のある)t検定のお話です。

対応のある(関連のある)t検定


1.「対応のあるデータ」とは?
 前回(第11回)の注釈で、「対応のある(関連のある)検定」のお話をしたところでした。
ここに来てわざわざ対応のある話をするということは、これまでに語ってきたt検定やMann-WhitneyのU検定、χ2検定やFisherの正確検定とは…?ご想像通り「対応の無い(関連の無い)」検定になります。過去の例題を振り返ってみますと…

いずれの比較も、全て別の人同士の比較です。自治体AとBの両方に所属する人も、新薬とプラセボの両方を投与された人もおりませんので、用いるデータは、全てが別々の人から得られたものになります。
 つまり、「対応のある(関連のある)検定」はその逆、全てが同じ人から得られたデータを用いた検定ということになります1)。医学研究においては、例えばある処置の前後の値を比較したいときなど、頻繁に用いられる方法です。また、時点が異ならなくても、同じ固体から得られるデータという意味では、例えば右手と左手、右目と左目の比較などを行う場合も対応のある(関連のある)データとして取り扱われます。インスタントに、「同じ集団から得られた時点が異なるデータ=対応のある(関連のある)データ」と考えてしまうのは、初心者段階のみでやめておきましょう。

 

 

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執筆者について

大橋 渉

経歴

愛知医科大学 臨床研究支援センター 准教授 博士(医学)

東京学芸大学大学院教育学研究科、東京医科歯科大学情報医科学センター特任助教、財団法人臨床研究情報センター、製薬企業等において臨床研究の支援及び医薬品の開発、製造販売後調査等に従事。富士通株式会社においてマーケティングデータ解析案件などに従事の後、2018年より現職。専門とする医学、生物、保健統計学の他、教育学、社会学、心理統計なども経験。

※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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