【第12回】マイナスからはじめる生物統計学
対応のある(関連のある)t検定
1.「対応のあるデータ」とは?
前回(第11回)の注釈で、「対応のある(関連のある)検定」のお話をしたところでした。
ここに来てわざわざ対応のある話をするということは、これまでに語ってきたt検定やMann-WhitneyのU検定、χ2検定やFisherの正確検定とは…?ご想像通り「対応の無い(関連の無い)」検定になります。過去の例題を振り返ってみますと…
第4回:t検定。自治体Aと自治体Bの成人男性の平均体重の比較
第9回:χ2検定。新薬群とプラセボ群の効果の比較
第10回:Fisherの正確検定。新薬群と既存薬群の効果の比較
第11回:Mann-WhitneyのU検定。A組とB組のマラソンの順位の比較
いずれの比較も、全て別の人同士の比較です。自治体AとBの両方に所属する人も、新薬とプラセボの両方を投与された人もおりませんので、用いるデータは、全てが別々の人から得られたものになります。
つまり、「対応のある(関連のある)検定」はその逆、全てが同じ人から得られたデータを用いた検定ということになります1)。医学研究においては、例えばある処置の前後の値を比較したいときなど、頻繁に用いられる方法です。また、時点が異ならなくても、同じ固体から得られるデータという意味では、例えば右手と左手、右目と左目の比較などを行う場合も対応のある(関連のある)データとして取り扱われます。インスタントに、「同じ集団から得られた時点が異なるデータ=対応のある(関連のある)データ」と考えてしまうのは、初心者段階のみでやめておきましょう。
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