ベトナム新薬事法と政令54による日本企業へのインパクト
ベトナムでは、2017年1月に新薬事法が発効し、2017年7月1日には、Decree No.54 / 2017 / ND-CP(以下、政令54)が施行された。この政令54は、海外(ベトナム国外)企業による、ベトナム国内でのビジネスを推進する内容となっている。
本レポートの内容は、あくまで私見であり、ベトナム保健省やDAV(Drug Administration of Vietnam)の公式発表ではないことをご了承いただきたい。
1.2005年薬事法と2016年薬事法の比較
海外(ベトナム国外)企業に関連する項目に関し、(旧)2005年薬事法と(新)2016年薬事法を比べると、主なポイントは以下5点が挙げられる
1.用語の改正、補足
2.薬剤師免許が必要な職位の追加
3.医薬品事業の定義の追加
4.医薬品申請手続きの変更
5.薬事規制の強化
これらの変更点のうち、特徴的な内容を以下にまとめる。
・ 優先分野の指定
- 医薬品、伝統薬の製造に活用できるよう、ベトナムに存在する自然原料による
医薬品原材料製造の研究開発
- 薬用植物資源、薬草の栽培地の発展、希少な薬草資源の保存
- 2005年の薬事法では優先分野として医薬品科学原料生産の推進と指定された
が、変更された。
・薬剤師免許(卸売、小売、試験、保管等、職種により複数種類あり)が必要な職種の追加
医療施設の薬剤部門責任者の他に、以下の各担当者にも薬剤師免許を求めるようになった
- 医薬品(原薬を含む)製造業者の品質保証責任者
- 医療施設の薬局担当者
また、政令2006/79/ND-CPの薬剤師免許付与要件に関する政令を薬事法の規定とし、薬剤師免許は有効期間を設定しないようになった。
また、外国人/ 海外在住ベトナム人に対しては、ベトナム語の利用が必須条件となる。
薬剤師免許が付与される必須実務従業期間は、職種によって2年間または3年間とした。医薬品製造施設の専門責任者および品質保証責任者に対しては従来通りの5年間である。
* これまでは、薬学部を卒業すれば薬剤師を名乗ることが出来たが、国際連携および他国との免許相互承認に向け、保健省による国家レベルの試験により薬剤師免許を付与する制度を追加した。政府機関に努める薬剤師は国家試験を受験することが推奨されている。なお、これまでは地方の保健局が無試験で薬剤師免許を交付していた。
(3)薬事許可証
- 2014年投資法と統一するため、新薬事法において、医薬品事業は医薬品・原料
の製造・販売事業と他の医薬品・原料に関連する各サービスを含めると定義さ
れた
- 薬事許可証は有効期間を定めない。但し、3年ごと、または不定期的に要件査察
が実施される
- 薬事許可証申請の手続き処理期間を短縮した
- 臨床試験および生物学的同等性試験実施支援機関を追加する
- 所管機関:
保健省:製造/輸出入/保管/検証試験/BA / BE試験 / 臨床試験の支援機関
保健局:卸売/小売
(4) 輸出・輸入業者:
- 第60条に従い医薬品・原材料を輸出入できる(但し、駐在員事務所ではなく現
地法人の設立が必要)
-医薬品の申請登録が可能
- 輸入した医薬品・原料を卸売・小売業者、医療機関に販売する(外資輸入業者に
対しては、保健省・保健大臣の規定に従う)
(5)医薬品の卸売業者(事業許可と流通許可証が必要):可能な業務
- 医薬品・原材料の卸売
- 医薬品・原材料の購入
- 医薬品・原材料の申請登録
- 医薬品・原材料の輸出
(6)ビザ番号(流通許可証)が付与される医薬品/原材料
第60条の1、2、3及び4に規定する輸入可能の医薬品・原材料(取引禁止種類を除く):申請登録・届出・輸入ライセンス
- ビザ番号の有効期限が切れる前に製造された場合、医薬品・原材料はその使用期
限が切れるまでに流通できること
- ビザ番号の有効期限が切れる前に輸出国から発送した場合、医薬品・原材料はそ
の使用期限が切れるまでに流通できること
- 第58条の1cの規定に従い、ビザ番号が回収される前に、製造・輸入した医薬
品・原材料(原産国はビザ番号/製造者が自分で回収する- 詳細はビザ番号回収
決定に規定されている)
(7)医薬品申請登録
1.流通許可証を新規発行(再発行)の代わりに、流通許可証延長制度を導入する。
- 医薬品・原材料の流通許可証発給
- 医薬品・原材料の流通許可証の延長
- 医薬品・原材料の流通許可証内容の変更、補足
2.各ケースに対し、流通許可証の発給期限を具体的に規定する:
-医薬品の流通許可書の延長、変更、補足に対して、3ヶ月以内とする
-新規発給に対し、12ヶ月以内とする
(8)医薬品の申請者:
・ 医薬品・原材料の製造、卸売、輸出入業者
・ ベトナムに駐在員事務所を設立した医薬品事業の外資企業
*医薬品・原材料の流通許可証は以下の要件を満たすことが必要:
・ 安全性、効能を確保すること
・ 法定要件を満たす医薬品・原材料製造施設にて製造されること
・ 第102条及び第103条に規定した品質基準に適合し、適切な製造手順によって
製造されること。
次の方法のいずれかで、海外の医薬品製造施設を評価すること:
a)製造に関連する書類を評価する
b)現地医薬品所管機関のGMP査察・評価結果を相互承認する
C)製造施設を再査察する
申請者の責任として下記を追加する:
・ 特定のケースにおいては所管機関に通知すること
・ 書類を適切に保管し、要求に応じて提出すること
・ 所管機関の要求に応じて、製造施設を評価、査察対応すること
ビザ番号(流通許可書)を持っている医薬品・原材料・原薬は保健省の輸入ライセンスなしで輸入できる。それらに対し、特別な監督が必要な医薬品(麻薬、向精神薬、前駆体等)以外には輸入数量は制限されない。
= 原材料(原薬)の輸入ライセンスを注文書ベースに発給しない
本レポートの内容は、あくまで私見であり、ベトナム保健省やDAV(Drug Administration of Vietnam)の公式発表ではないことをご了承いただきたい。
1.2005年薬事法と2016年薬事法の比較
海外(ベトナム国外)企業に関連する項目に関し、(旧)2005年薬事法と(新)2016年薬事法を比べると、主なポイントは以下5点が挙げられる
1.用語の改正、補足
2.薬剤師免許が必要な職位の追加
3.医薬品事業の定義の追加
4.医薬品申請手続きの変更
5.薬事規制の強化
これらの変更点のうち、特徴的な内容を以下にまとめる。
・ 優先分野の指定
- 医薬品、伝統薬の製造に活用できるよう、ベトナムに存在する自然原料による
医薬品原材料製造の研究開発
- 薬用植物資源、薬草の栽培地の発展、希少な薬草資源の保存
- 2005年の薬事法では優先分野として医薬品科学原料生産の推進と指定された
が、変更された。
・薬剤師免許(卸売、小売、試験、保管等、職種により複数種類あり)が必要な職種の追加
医療施設の薬剤部門責任者の他に、以下の各担当者にも薬剤師免許を求めるようになった
- 医薬品(原薬を含む)製造業者の品質保証責任者
- 医療施設の薬局担当者
また、政令2006/79/ND-CPの薬剤師免許付与要件に関する政令を薬事法の規定とし、薬剤師免許は有効期間を設定しないようになった。
また、外国人/ 海外在住ベトナム人に対しては、ベトナム語の利用が必須条件となる。
薬剤師免許が付与される必須実務従業期間は、職種によって2年間または3年間とした。医薬品製造施設の専門責任者および品質保証責任者に対しては従来通りの5年間である。
* これまでは、薬学部を卒業すれば薬剤師を名乗ることが出来たが、国際連携および他国との免許相互承認に向け、保健省による国家レベルの試験により薬剤師免許を付与する制度を追加した。政府機関に努める薬剤師は国家試験を受験することが推奨されている。なお、これまでは地方の保健局が無試験で薬剤師免許を交付していた。
(3)薬事許可証
- 2014年投資法と統一するため、新薬事法において、医薬品事業は医薬品・原料
の製造・販売事業と他の医薬品・原料に関連する各サービスを含めると定義さ
れた
- 薬事許可証は有効期間を定めない。但し、3年ごと、または不定期的に要件査察
が実施される
- 薬事許可証申請の手続き処理期間を短縮した
- 臨床試験および生物学的同等性試験実施支援機関を追加する
- 所管機関:
保健省:製造/輸出入/保管/検証試験/BA / BE試験 / 臨床試験の支援機関
保健局:卸売/小売
(4) 輸出・輸入業者:
- 第60条に従い医薬品・原材料を輸出入できる(但し、駐在員事務所ではなく現
地法人の設立が必要)
-医薬品の申請登録が可能
- 輸入した医薬品・原料を卸売・小売業者、医療機関に販売する(外資輸入業者に
対しては、保健省・保健大臣の規定に従う)
(5)医薬品の卸売業者(事業許可と流通許可証が必要):可能な業務
- 医薬品・原材料の卸売
- 医薬品・原材料の購入
- 医薬品・原材料の申請登録
- 医薬品・原材料の輸出
(6)ビザ番号(流通許可証)が付与される医薬品/原材料
第60条の1、2、3及び4に規定する輸入可能の医薬品・原材料(取引禁止種類を除く):申請登録・届出・輸入ライセンス
- ビザ番号の有効期限が切れる前に製造された場合、医薬品・原材料はその使用期
限が切れるまでに流通できること
- ビザ番号の有効期限が切れる前に輸出国から発送した場合、医薬品・原材料はそ
の使用期限が切れるまでに流通できること
- 第58条の1cの規定に従い、ビザ番号が回収される前に、製造・輸入した医薬
品・原材料(原産国はビザ番号/製造者が自分で回収する- 詳細はビザ番号回収
決定に規定されている)
(7)医薬品申請登録
1.流通許可証を新規発行(再発行)の代わりに、流通許可証延長制度を導入する。
- 医薬品・原材料の流通許可証発給
- 医薬品・原材料の流通許可証の延長
- 医薬品・原材料の流通許可証内容の変更、補足
2.各ケースに対し、流通許可証の発給期限を具体的に規定する:
-医薬品の流通許可書の延長、変更、補足に対して、3ヶ月以内とする
-新規発給に対し、12ヶ月以内とする
(8)医薬品の申請者:
・ 医薬品・原材料の製造、卸売、輸出入業者
・ ベトナムに駐在員事務所を設立した医薬品事業の外資企業
*医薬品・原材料の流通許可証は以下の要件を満たすことが必要:
・ 安全性、効能を確保すること
・ 法定要件を満たす医薬品・原材料製造施設にて製造されること
・ 第102条及び第103条に規定した品質基準に適合し、適切な製造手順によって
製造されること。
次の方法のいずれかで、海外の医薬品製造施設を評価すること:
a)製造に関連する書類を評価する
b)現地医薬品所管機関のGMP査察・評価結果を相互承認する
C)製造施設を再査察する
申請者の責任として下記を追加する:
・ 特定のケースにおいては所管機関に通知すること
・ 書類を適切に保管し、要求に応じて提出すること
・ 所管機関の要求に応じて、製造施設を評価、査察対応すること
ビザ番号(流通許可書)を持っている医薬品・原材料・原薬は保健省の輸入ライセンスなしで輸入できる。それらに対し、特別な監督が必要な医薬品(麻薬、向精神薬、前駆体等)以外には輸入数量は制限されない。
= 原材料(原薬)の輸入ライセンスを注文書ベースに発給しない
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