製薬会社MRとは一体何か?【第9回】

【MRの成功話】これだからやりがいがある!エピソード

GMP Platformに9回目の記載となります。
MR→コントラクトMRからヘルステック企業を経て起業し、現在は個人のYou Tubeチャンネル ( にしまファーマ ) を運営しながら、医療系人材紹介会社を運営しております。

前回の第8回では「MRの怒られ話」ということで私の恥ずかしい思い出をお伝えしましたが、このままではシリーズとして辞められません。
ということで今回は、翻って「MRの成功話」ということで、当時やる気のみなぎった瞬間、やりがいを感じたエピソードについて綴っていきます。

今回は「医療従事者への貢献」というテーマで印象的だった出来事をお伝えします。

■医療従事者への貢献
教科書のようですが、やっぱりこれを実感できた時のエネルギーは凄まじいものがあります。
特に今回は私のMRキャリアの中で1,2の「やりがい実感」エピソードをひとつ。
メーカーMRとして新薬の立ち上げ期のお話です。

当時の私はエリア担当(医療圏を包括的に担当)でした。
とあるタイミングで担当変更があり、県内有数の顕在大先を持つことになりました。

状況としては、
・未採用
・門前は飛び処方(門前薬局以外の薬局から処方が飛んでくること)で小ロット開設済
・ほぼ会えない

この一番下、会えないというのは処方数が大きい施設あるあるで、医師もそれだけ忙しく、面会の機会すらもらえないという状況です。

そんなこんなで前任からの引継ぎを終え、担当スタートです。

週に2,3回お伺いしてみるも、前評判通りで全く会えない施設でした。
MSさんと同行してもダメ、上司を連れて行ってもダメ。

とはいえ時間だけ取られるのも勿体ないので、毎度毎度お手紙を置くことを徹底していました。
名刺裏、A4用紙、便箋、いろんなパターンで試しましたね。
MRは日々、先生とアポイントを取るために創意工夫してるんです。

そんなある日。
いつも通り爪痕だけでも残すつもりで訪問します。

受付さんから驚きの言伝を告げられます。

「先生、お会いになるとのことですのでお待ちください。」

!?
突然すぎて慌てる私。

なぜ急に?
どうしよう、何を話そうか?
そもそも初めましてからかな?薬の話していいのか?

今思えば先生と直接お会いするのはこの時が初で、パーソナリティどころか外見も知りません。

びっくりドキドキしながら訪問を待ちます。

「どうぞ~」

診療室に案内される私。
その先にいた先生は想像よりお若く、品があり精悍な雰囲気を纏う方でした。

「どうも。」

先生は一言だけそう言います。

私「初めまして、お世話になってます、○○のにしまです。いつも○○をお引き立て頂きありがとうございます、いつも色々と書き残してすみません。」

まずはテンプレでもう1ラリー様子を見たいにしま。

先生「はい、見てましたよ、ちょっと聞きたくてね。」
  「○○、他所から持ってきた患者さんがいてね、使ってみようと思ってる」

いきなり最高のラッキーパンチがきました。
冷静を装いながら対応を続けます。

にしま「そうでしたか!ありがとうございます。○○病院ですと○○先生もご評価下さっていて…(略)」

いくつかの質疑応答を済ませ、この場は終了。
数日後には無事に最小規格最小ロットの発注を確認し、心踊るにしま。

数日後。

ここで一波乱が起こります…!

その日の面会予定を終え、帰宅したその時でした。
このクリニックから電話が鳴りました。

随分遅く、また初めての事に緊張しながらも電話をとります。

にしま「はい、にしまです」
先生「あ、(先生)ですが。○○投与していたお客さんが悪心と嘔吐で緊急来院されています。何か対処すべきことはそちらからありますか?」

緩み切った神経が一気に張り詰めるにしま。
どうやらお伝えしていた新薬を投与された患者さんに重めの副作用が出たらしい。

にしま「申し訳ございません、単剤であれば○○によるものの可能性がありますね、取り急ぎ制吐剤は○○を投与してあげてください。悪心嘔吐は一過性のものである報告が多いので、ご様子みながらその旨お伝え頂き安心するようご対応ください!」

緩んだネクタイを締め直し、再度車に向かいます。
今すぐに施設に向かうためです。

副作用でリアルタイムに先生から直接お電話を頂くというのは、私の経験ではかなり稀です。
それだけ急を要するということ、それも新薬で患者さんはもちろん、先生もかなり不安のはず。
状況を聞かねば、お伝えできることは伝えねば、そんなことを強烈に考えていた記憶があります。
 

 

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