医薬品設備建設における「オーナーのプロジェクトマネジメント2nd改訂版」【第4回】

  今回より各プロジェクトのステージ(フェーズ)におけるプロジェクトマネジメントについて記載する。なお、各ステージの記載終了後に、再び全体的な要素について記載していく。

参考 以前に記載した記事の目次
1.    はじめに
2.    プロジェクトステージの概要
3.  何をマネジメントするか
4.  プロジェクト計画に関連する主要な問題点
5.  プロジェクトマネジャーの役割と責務
6.  プロジェクトマネジャーの資質
7.  プロジェクトで使用することば
8.  外部への依頼範囲
9.  コントラクターとの契約、および訴訟を意識したマネジメント

 

10. FS(Feasibility Study)ステージ
 第1回の表2.1に記載したが、フィージビリティ・スタディ(以下FSという)とは、次のステージである「基本計画」を実施するための準備を行うステージである。つまり、計画プラントの戦略的位置づけ、事業計画などを基にして、工場運営の基本理念を確立し、建設する工場諸施設の種類・建設時期などに関する技術的な裏づけ、および予算的な裏づけ等を行うステージである。これらを基に、事業化のGo/No Goの第一次評価を行うと同時に、複数案の計画の比較検討を行い、基本方針を決定するステージと考えられる。新製品の場合は、治験薬製造や工業化研究(プロセス開発・プロセス構築・設備構築計画・主要機器仕様検討)が、同時並行で行われているステージでもある。このステージにおける検討は、主として製薬会社にて実施するものであるが、製薬会社単独では実施できない場合、アライアンス契約等により外部の協力を得る方法もとれる。

主な検討項目は(以下の項目は順不同であるが)、
 ・国や地域を含めた生産場所の比較検討
 ・生産規模をどう考えるか、複数の生産場所であればその生産量配分、
  将来の生産予想等の検討
 ・インフラ、および試運転時や生産時の要員の検討
 ・プラントの基本構想の検討
  - プロセス検討(複数案のプロセスも含めて検討)
  - プラント方式の検討(生産方式、専用設備/マルチ設備等)
  - 上記の生産規模に従い、本プラントサイズの検討
  - 主要機器の検討(主要機器が市場に存在するものか、
   開発品になるのか、長納期品はあるか、主要機器の仕様等)
 ・予算算出と概略工期(FSステージでの予算化は概算算出となる)
 ・GMP方針の検討
 (例えば、規制対象国はどこか、特別な規制があるか)
 ・上記の複数案に対してどのようなプロジェクトで対応するかの
  構想と比較検討
 ・上記を基に事業化投資計画の立案とその第一次評価
であり、事業化の第一次評価の結果次第で、以下となる。
 ・次のステージに進む場合
 ・再度FSを行う場合
 ・事業化計画を中止または凍結する場合

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