製造担当者も知るべき臨床試験の基礎知識【第8回】
今回は、治験の実施において実際に行う内容について記載する。
治験が開始されると、直接係りあう人たちは次のとおりであり、その業務を記載する。
1.院長
院長は、治験実施に際して院内では全責任を有する。クリニック等医師一人の医療機関では、院長=治験責任医師となり、業務は増大する。大きな病院では、院長と治験責任医師が異なることが多く、業務は分担されるが、院長と責任医師が異なるためファイル数が多くなる。医療機関代表者としての立場と治験責任医師としての立場は、同一の人物であっても厳密に分けられる。院長の重要な役割は、提供される情報に対する正確な判断である。それを誤らないためにも治験審査委員会を設置し、意見を聞くことになる。勿論、治験実施体制の構築は院長の役割である。院内の手順書の作成、整備、治験薬管理者の指名、治験協力者の確認等については、治験が無事に終了するまで、役割は継続する。
2.治験責任医師
治験責任医師は、通常、自分が主治医となっている患者で治験参加の条件に適合している方に、治験の説明をして参加を依頼する。治験期間中は、通常の治療のための通院より厳密な身体の調査を行う。終了時には、症例報告書を作成して提出する。実施期間中は、症例の途中経過を確認するために来院する治験依頼者の対応もあり、細かなことまで注意深く質問されるため、被験者の観察等は細心の注意を要する。
3.治験分担医師
治験分担医師は、責任医師との役割分担でどこの範囲まで治験に係りあうかを、予め決めておく。責任医師が急用で病院へ来られない時には、治験分担医師が医療行為を行った後で責任医師に報告をする、ということを決めて、治験に参加する。必ずしも必須の協力者ではない。
4.治験協力者
治験は、被験者の来院時には検査、問診、在宅時の記録等の確認事項が多くある。治験薬は、まだ薬とはなっていない化合物であるため、何時、いかなる時に何が起こるか分からないことを前提に、観察を続けなければならない。従って、被験者の来院時には被験者になるべく負担がかからないように、協力する者が必要である。これらの方も予め、治験にどのような形で、何処まで協力するかを決めておく。
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