【第4回】Pharma4.0と製造現場のデジタル化施策
垂直統合のための異分野コミュニケーションの秘訣
本コラムでは、Pharma4.0スマートファクトリーに向けた医薬品製造業の課題に対する当社の各種取り組みをご紹介します。大きな基盤づくりの方法論から、各種課題解決ツールまで、幅広くご紹介しますのでご期待ください。
第4回めは、「垂直統合のための異分野コミュニケーションの秘訣」と題し、多様な技術領域の専門家とともに、計画レベルから現場の装置レベルまで情報の統合を行う上で必要な、コミュニケーションの秘訣をご紹介します。
グローバル化が進む中、多様性に対する相互理解と信頼関係の構築が進められています。モノづくりの領域でも、異分野コミュニケーションが、共通の目標達成には必要不可欠です。
工場立ち上げのエンジニアリングでは、プロセス、設備、建屋、ITの異分野のメンバーが、設計、実装における状況を共有し、それぞれの領域の業務に落とし込んでいく必要があります。そのためには、個別チームと全体との協調関係を明らかにして、それぞれの業務を遂行するときの前提条件を明らかにし、相互依存関係を共有することが重要です。
当社メンバーは以下の共通マインドを持ってコミュニケーションしています。
● 業務の条件を、わかりやすく伝えること・相手を理解すること(つながりの共有)
異分野になった途端に、相手のチームの“前提条件や言葉がわからない”ということが起こり得ます。このために共通用語を定義し文書化します。また、業務のための前提条件(文書と文書のつながり、データとデータのつながり)を明示していきます。
設備屋さんのデータシートのどこをIT担当は拾っているか、プロセス屋さんの運転フローのどこをみて、IT担当は設計しているか、つながり明示があると、双方影響範囲の確認がスムーズにできるようになります。
● 会議では、認識レベル、解釈一致の流れをつくること
個々の技術者は、相手の業務を理解することより自分の専門領域へ議論を引き込み、会議を細分化する傾向があります。このため、会議の場では、会議体の目的を共有化し、相手の説明内容を解釈して、共通認識を作っていくことが重要です。時には何も知らないピエロの振りをして、説明者の説明内容をホワイトボートに描いて、解釈の齟齬がないか確認します。また、用語にも注意します。異分野になると用語の使い方が異なることもあるからです。
例えば、DCSは、工場建設の場面では、Distributed Control Systemです。空港建設の場面では、Departure Control Systemです。場面によって言葉は異なるため、共通用語を定めて、コミュニケーションを行います。
議事録は主語を明確にすることが大事です。異分野のインテグレーションは、主語が省略されると意味が逆になって解釈されます。「設備は、」「ITは、」「人は、」と主語を明確にします。
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