いまさら人には聞けない!微生物のお話【第27回】

滅菌用のEOガスについて。
5)滅菌用のEOガス
日本国内では多くの場合、滅菌用EOガスとしてEOと二酸化炭素の混合ガスが使われます。 通常市販されているのは、10%EO/90%CO2、20%EO/80%CO2、30%EO/70%CO2 の3種類です。 海外では100%EO がしばしば使われます。 先に述べた通り、通常EO滅菌では滅菌中のEO濃度は 500~800mg/L程度を目標値にします。 この濃度を達成するために必要な圧力は、滅菌時の温度や初期減圧によって変わりますが、目安としてはおよその以下の通りです。
使用ガス | 圧力 |
10%EO / 90%CO2 | 200~300kPa (3~4気圧) |
20%EO / 80%CO2 | 50~150kPa (1.5~2.5気圧) |
30%EO / 70%CO2 | 50~100kPa (1.5~2気圧) |
100%EO | -50~0kPa (0.5~1気圧) |
10%EOを使う場合には、防爆性は考慮する必要はありませんが、滅菌器本体の高い耐圧性が要求されます。一方100%EOを使う場合には、耐圧性はそれほど必要とされませんが、極めて可燃性の高いガスを使うため、部屋を含めて防爆構造にする必要があります。どれが優れているというわけではありません。それぞれ利点と欠点があり、その特性をよく理解した上で選択する必要があります。
参考までにCO2との混合ガスと、100%EOでは、下表のようにそれぞれの利点と欠点があります。
利点 | 欠点 | |
CO2との混合ガス |
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100%EO |
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いずれのEOガスも、ボンベ中では液体ですので、ガス気化器を通して気体にし、設定した圧力まで滅菌器に供給することになります。その際、注意すべき事項があります。非常に速い速度でガスを投入すると、完全に気化しなかったり、急激な圧力変化で製品の一次包装が破損したりする場合があります。またCO2との混合ガスの場合、1本のガスボンベから出てくるガス中のEOは、残量が少なくなると急激に減少する傾向があります。 そのため混合ガスを使用する場合は、1ブロックのガスボンベを何回の工程に使用するかは、前もって決めておく必要があります。
6)ガスメイクアップ、フラッシング
滅菌中、EO分子は徐々に製品や水蒸気に吸着されます。 その結果滅菌缶体の圧力も徐々に下がります。 通常、滅菌中の圧力が一定のレベルまで下がると、自動的に元の圧力までガスの供給が行われるよう設定されています。これが「ガスメイクアップ」と呼ばれる工程です。注意しなければならないのは、メイクアップで戻るのは圧力のみ、ということです。CO2との混合ガスを使っている場合、メイクアップで供給されるのはCO2との混合ガス、つまり薄まった状態ですので、EO濃度が元の状態まで戻ることはありません。100% EOを使用するプロセスでは、理論上は、圧力減少分だけ100%EOが供給されますので、EO濃度の低下はありません。
EOは60℃以上になると重合を始めるといわれます。また二酸化炭素との混合ガスでは水分の存在で酸を生成し、これも重合を促進するといわれています。EOの重合物は褐色の油状物質としてガスの配管内などに蓄積し、ストレーナーの目詰まりを引き起こしたり、製品を汚損したりする場合があります。 これを防止するために、EOガスを所定圧力まで供給後、ガスの配管系に窒素ガスなどを通し、残存EOを排出する場合があります。これをフラッシングと呼んでいます。
7)製品の載荷形態
EO滅菌の場合、製品が確実に滅菌されるためには一次包装内の製品にEO分子および水分(水蒸気)が到達しなければなりません。
一般にEO滅菌は使用する滅菌装置にパレットあるいは専用の積載用カートなどに一次包装品、二次包装品、個箱詰め製品、打箱入り製品、通箱梱包品などの形態の製品を積載し、この状態で滅菌器内に搬入し滅菌を行います。製造者にとっては、一度により多くの製品を処理した方が製造コスト上有利です。しかし多くの製品を隙間なく詰め込むと、EOガスや蒸気の浸透が阻害されます。その場合は、箱の間に1~2cm の隙間を開けることが有効です。また滅菌装置の有効容積に対してあまりに多くの製品を詰め込み過ぎると、積載製品の温度分布に大きなムラが出たり、結露によって製品が汚損されたりすることがあります。一つの目安として、製品積載量は使用する滅菌装置の有効容積の75%以内ともいわれていますが、その限度については滅菌工程確立時に十分評価しておくことが必要です。
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