製造担当者も知るべき臨床試験の基礎知識【第3回】
臨床は、言葉の意味として「病床に臨むこと」、「実際に個々の病人について病状の観察・治療をすること」とあり、また臨床医学は、「基礎医学に対して病人を実地に診察・治療する医学」ということからも、実際の患者を対象にしたことを臨床ということが分かる。
開発という言葉は、漠然と使用されていることが多く、さまざまな受け取り方がある。
開発という言葉からくるイメージは、何か新しい方法、ものが絡んでいると想像できる。
開発とは、辞典では、「開きおこすこと」、「開墾し利用すること」、「(研究などを進めて)実用化すること」等々多くの表見、説明が見受けられる。ここで言う開発は、3番目の「実用化すること」に該当する。
臨床開発は、「実際の患者を対象に何かを実施して確認し、実用化すること」と定義できる。一般的に、臨床開発という概念は、医薬品、医療機器について、患者に使用してその医薬品、医療機器が目的とする機能を有しており、使用上危険性がないことを確認し、実用化することと解釈されている。ここでは、医薬品の臨床開発を説明する。
医薬品の開発という言葉をよく耳にするが、これは研究と開発が一体化しているような意味を持っている。厳密にいうと、医薬品の場合、研究が先で、後に臨床開発があるのが一連の流れである。分野によって、研究から開発を経て、市販までがかなり異なっていることは当然であるが、医薬品の場合、一定の手続きが必要であり、どうしても人に対しての評価が要求されるため独特の手順(薬事法、厚生労働省令によって規制されていることが多い)となるが、一般の物品は研究と開発が一体化していることが多い。一般の物品は、開発の目的と研究の目的が初めから一致していることが多いためである。例えば、片手で沢山の洗濯物を干したり、取り込んだりできる洗濯バサミ付ハンガーを考案する時は、形状、ばねの大きさ、使い勝手等工夫(研究)を重ねて、出来上がれば同時に開発完了ということになる。この品物を改めて開発の定義で、考えると最終的に、使用して評価を得る、ということになる。
医薬品の場合、市販されるには、国から承認を得なければならない。承認を得るためには決められたデータをもとに、一定以上の成果が得られたことをまとめた資料を添付して、承認申請を行う。このデータ収集の最終段階が臨床開発としての臨床試験であり、この種の臨床試験を治験と呼んでいる。
薬は、使い方によっては、毒になる物質が多いので特に国で一定の手続きと証明のやり方に規定を設けている。医療用であっても、例えば片手で簡単に取り付けられる包帯であれば、患者でなくても証明はできる。この場合、機能の証明で危険性(安全性)や有効性(使い勝手)が上手くできても、医療用となると特別に何か資料を要求されるかもしれない。
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