非無菌医薬品製造における微生物学的品質の考慮事項 産業界向けガイダンス【第3回】

2022/04/01 レギュレーション

【第3回】非無菌医薬品製造における微生物学的品質の考慮事項 産業界向けガイダンス

1.  製品固有の要素

o 剤形
・液体製品は、一般的に他の種類の製品よりも微生物の増殖の可能性が高く、半固体製品は、一般的に固体製品よりも微生物の増殖の可能性が高い。  

o 水分活性 
・非水性非無菌医薬品の水分活性は、微生物の増殖を抑制するため、十分に低いことが望ましい。
・非無菌医薬品の水分活性が高い場合は、微生物の増殖の可能性が高いので、追加の製造管理が必要となる。 

 o 推奨用途
・患者集団を考慮する―その薬剤に曝される可能性のある患者の範囲と、その薬剤を服用している最も脆弱な患者の疾病状態を考慮すること。
・投与経路を考慮すること。
・非無菌医薬品が投与される可能性のある身体部位(例:皮膚、気道、消化管、尿路)、およびその組織が傷ついていたり、病気になっていたりして、感染しやすくなっているかどうかを考慮すること。
・製品が使用される環境(例:手術室、NICU)を考慮すること。 

o 包装
・容器/栓が、微生物汚染につながる予見可能な外的要因(例:水や微生物の侵入)から、内容物を適切に保護するものであることを確認すること。 
・非無菌医薬品の包装を選択する際には、複数回投与用との比較の上で、単回投与用の容器と栓の適切性を検討すること。ある種の剤形については、単回投与用の容器/栓が、最終製品への外因性微生物の侵入防止に関して、優れた安全性を提供する可能性がある。 

o製品原料および構成
・有効期間中の微生物の増殖を防止する効果が保証された適切な防腐剤の選択を考慮すること。
・すべての原材料の入荷ロットが、許容可能な微生物学的品質を有することを含め、意図された用途に適していることを保証すること。

o 微生物検査―製品固有の考慮事項
・原料、中間製品および最終製品について、適切な微生物基準値を設定すること。
・サンプリング計画は、ロット内のばらつきを確実に検出できるものであること。
・原料または最終製品に存在する可能性があり、患者または製品の安定性にリスクをもたらす可能性のある様々な微生物を検出するために、適切な感度のある方法を用いること。 
・加工助剤としての使用を含め、製品原料として使用される水に対して、適切な処置基準値を設け、適切な試験方法を実施すること。経口固形製剤には、100 CFU/ml以下の純水(USPの定義による)の使用が推奨される。他の剤形については、より厳しい微生物学的品質基準が適切な場合がある。
 

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執筆者について

脇坂 盛雄

経歴 1979年エーザイ株式会社入社、9年間、品質管理と21年間、品質保証を担う。
専門領域はGQP品質保証、注射剤及び固形剤の異物対応、品質リスクの発見と低減対応 ・医薬品/食品の表示校閲、製品回収リスク回避対策 ・逸脱/苦情対応、変更管理(一変/軽微変更)対応。品質保証責任者(品責)、統括部長および理事を歴任し、2013年9月末に退職。
現在は企業のコンサル・顧問を行う傍ら講演会講師、書籍執筆などを精力的に行っている。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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