いまさら人には聞けない!微生物のお話【第13回】

第二部 微生物のコントロール
1. 用語の解説
2. 微生物は不潔?
3. なぜ微生物管理が必要なのか?
4. 微生物を殺滅/除去する
4.1 加熱による殺滅
4.2 放射線による殺滅
4.3 化学物質による殺滅
5. 管理の対象としての微生物
5.1 微生物の好きなもの、嫌いなもの
5.2 設備/エリア
5.3 空気
5.4 製造用水
5.5 原料、資材
5.6 作業者の管理
5.7 清掃、洗浄、消毒
5.5 原料・資材
ポイント | コントロール例 |
---|---|
受け入れ | • 二重包装で納品してもらい、受け入れ時に外側の包装を除去し、クリーニング、消毒を行う • 製造元のCertificateの確認 |
保管、汚染防止 | • 保管場所の指定 • 汚染防止(クリーン度、温湿度、立ち入り制限) |
移動経路 | • 搬入経路、搬入時の形態、製造エリアへの移動 • 外用台車と構内台車の区分 |
保管環境 | • 清浄度、温湿度、換気回数、モニタリング(微粒子、微生物) |
サンプリング、検査 | • サンプリング場所、方法、容器、検査方法、異常時の対応 |
サプライヤー管理 | • 要求条件の相互確認と品質契約書への記載 • 定期的なサプライヤー監査の実施 |
<注意点>
- 原料や資材は、その多くは外部から購入するため、自社だけでの管理には限界があります。ISO13485やPICS GMPで要求されている通り、適正な購買(サプライヤー)管理が必要です。
- 原材料が自社に納品されたときの管理として、外環境からの微生物の持ち込みを防ぐための手順を確立しておくことが必要です。原材料に付着している可能性の高い微生物として、特に芽胞形成菌や真菌に注意する必要があります。
- 原料によっては、固有の汚染微生物が存在する場合があります。たとえば血液にはHBV、HCV、HIVなどのウイルスが混入している可能性があります。また生物由来原料にはウイルスやプリオンが存在している可能性があります。
5.6 作業者の管理
ポイント | コントロール例 |
---|---|
教育訓練 | • 基礎微生物学、衛生管理、無菌操作、更衣手順、手洗い方法、消毒法 などに関する基本的な教育訓練(入社時教育、定期的な教育及び訓練、OJT) • OJTでの標準的な作業手順の徹底 |
衛生/健康管理 | • 化粧、アクセサリー類の禁止 • 病気の申告 • 海外渡航後は、一定期間クリーンルームへの立ち入り禁止などのルールの設定 |
更衣 | • 更衣室の整備 • 部屋ごとの適正な更衣の実践(無塵衣、マスク、グローブ、ゴーグル、キャップなど) • 更衣時の手洗いおよび手指消毒 |
手洗い | • 手洗い設備、手洗い方法、手指消毒 |
<注意点>
- 作業者の存在は、医薬品や医療機器の製造工程における微生物汚染リスクを考える上で、極めて大きなリスクとなります。作業者の体表には多くの微生物が生息しています。それを完全に除去する(人間を滅菌する)ことはできません。従って作業者に関連する微生物管理においては、作業者が微生物を意識するための教育訓練がまず必要です。
- 作業者が製造エリアに入り、製品に接触する際には、更衣と手洗が必要です。更衣と手洗いの厳密さは、対象となる製品や工程により一律ではありません。リスクアセスメントを行い、要求されるレベルを明確にしたうえで、手順を決めます。
- 作業者が外環境から製造エリアに持ち込む可能性が高いのは、芽胞形成菌および真菌ですが、作業者自身が持っている皮膚常在菌や口腔内細菌にも注意が必要です。
- 作業者が感染性疾患に罹患している場合、特定の作業から外す、あるいはクリーンルームへの入室を制限するなどの措置が必要かもしれません。適正にリスクを評価し、対応を手順化します。
- 人の管理に関しては、作業者以外にも外来者、配送業者にも注意する必要があります。また感染症に関しては海外渡航者も適正管理が必要です。
コメント
/
/
/
この記事へのコメントはありません。
コメント