医薬品の外観目視検査における要求品質の明確化のために【第12回】

注射剤の製造方法の理解

1. 注射剤の製造方法の理解
注射剤の外観検査について、無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針(平成23年4月20日付け厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課事務連絡)には、以下の通り記載されている。

A6.4外観検査
A6.4.1一般要件
1) 外観検査により容器完全性不適合の製品を取り除いて無菌性を保証する場合は,外観と容器完全性の対応関係を適切に定めた検査標準を確立すること。

2) 検査条件は,製品の特性を考慮し,製剤毎に最適化すること。

3) 異物検査の基準は日局に準拠することその基準である「たやすく検出される異物/明らかに検出される異物」を製剤の特性や異物の種類毎に定義すること。

4) 製造工程では全数検査を行い, 「たやすく検出される異物/明らかに検出される異物」が混入した製品を除去すること。全数検査の後,必要に応じて目視による抜取検査を行うこと。抜取検査ではパッチサイズを考慮した統計的に意義があるサンプルサイズ(例えば, AQL抜取方法を参考にする)で評価すること。

5) 検査作業手順書に検査方法を定めること。人による目視検査においては,例えば次のような条件を定める。
 ① 検査手順,検査ピッチ,単位検査対象当たりの所要時間,休憩の間隔
 ② 検査台,検査ベルト,検査燈,検査用拡大鏡,検査姿勢(椅子)
 ③ 検査位置の照度,検査室の照度,背景の色
なお,製造工程で目視により全数検査を実施する場合, 「たやすく検出される異物/明らかに検出される異物」が除去できるように製剤毎に検査精度が保証できる所要時間,照度などの検査条件を最適化し,規定すること。全数検査後に抜取検査,品質試験を行う場合,検査位置の照度は2000-37501x,単位検査対象当たりの所要時間は白及び黒の背景で5秒ずっとする。これ以上の照度及び所要時間を採用することもできる。

6) 自動検査機による検査においては,例えば次のような条件を定める
 ① 検査機の機種,検査速度,単位検査対象当たりの所要時間
 ② 開始,終了時,その他定期的な標準品サンプル等による検査機の検査能力の確認、方法
 ③ 校正

7) 検査の判定に使用する限度見本を作成する場合,そのサンプルについて品質部門の承認を受けること.また,限度見本は経時的な劣化・変質が発生するため,有効期限の設定を行うか,定期的な品質確認を行うこと。

 

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