医薬品工場建設のノウハウ -プロジェクトの成功に向けて-【コラム-3】

2016/06/08 施設・設備・エンジニアリング

プロジェクトを成功に導くための手順について、ユーザー(製薬会社)の視点で紹介する。

コラム-3 GMPレビュー

EU GMP Annex 15,2015におけるURSは、「URS(User requirements specification)やFS(Functional specification)に、施設設備の仕様を定義すること。この段階で、品質の本質的要素を組み込み、GMPに関わるリスクを許容範囲内に軽減させる必要がある。URSをバリデーションのライフサイクルを通じて、参照の基準点として活用すること。」
と定義されている。
 
GMPレビューは、URからURS(ユーザー要求から詳細設計)まで一連の設計作業の中で、上述のAnnex15で要求される「品質の本質的要素を組み込み、GMPに関わるリスクを許容範囲内に軽減させる必要がある。」ということを実践的にユーザーの責任において実施しなければならないものである。
そのためには、GMPを熟知し全体をまとめるプロジェクトマネージャが必須である。
我々は、このGMPレビューを段階的に実施することを推奨している。
 
基本計画段階のGMPレビュー「GMPレビュー1」
製造品目、剤型、生産量、将来構想等々を念頭に置き、全般的な基本構想に対して広義のGMPレビューを行う。例えば、

 ・原料や資材の量に対して、倉庫は清掃が行えるスペースが確保されているか?
窓がある場合、直射日光を遮る構造になっているか?
 ・防虫・防塵コントロールとして建屋内に侵入させないための、人・物品の入退出経路のインターロックの前室の構造は十分か?
 ・建屋内から製造室への人・物品の入退室もゾーンが交差することなく行える構造となっているか?
 ・トイレは製造室から隔離されており、かつ、製造室から近い位置にあるか?
 ・機器配置レイアウトは動線が交差しないように設計されているか?

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執筆者について

田中 信夫

経歴 1970年武田薬品工業入社、2014年退社まで一貫して注射剤関連業務に従事。
初期段階は注射剤の製造管理、工程管理を担当し、その後研究所にて新製品の工業化検討、プレフィルドを含む新規デバイス検討に従事、最終段階では、新設備建設での用水・空調を含む製剤機器選定、DQ/IQ/OQ/PQ/PVの立案・実施、その後の国内外査察対応までの一連業務に従事。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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