【医薬品工場建設のノウハウ 番外編】プロジェクトコラボレーション基盤CORRESSAの概要と機能

2020/10/09 施設・設備・エンジニアリング

共著:CORRESSA事業部

1.コロナ禍による業務スタイルと価値観の変化
昨年の今頃は当社が担当させていただいているプロジェクトの定例会議への出席、お客様へのご挨拶等で日本全国、時には海外を飛び回っていました。しかしながら、現在はコロナ禍の影響で在宅での執務が日常化しています。
私自身、所謂「昭和のおじさん」であり、コミュニケーションはFace to Faceが原則と信じて疑わず、web会議の有効性に疑問を持っている一人でした。確かに、Face to Faceでなければ難しい場面もありますが、これは全体から見ればほんの一部であり、大抵のことはよく準備をして臨めば全く支障がないことに気づきつつあります。
また、在宅勤務が進んだ影響で紙(書類)の利用が極端に減りました。打合せ資料は事前にPDFで共有し紙を配布することはありません。各種図面もPDFで提出しお客様に確認をいただいています。
「図面は紙に印刷しなければ確認ができない。」当社の中にもこの様に考える設計スタッフもいましたが、今では大型ディスプレイに表示することにより、支障なく仕事ができています。当社では、これを機に溜まりに溜まっていたキャビネの資料を整理して、懸案であったペーパーレス化も一気に進みました。このドライビングフォースがコロナ禍であったのは皮肉なことです。

さて、当社では以前より、プロジェクトコラボレーション基盤として、CORRESSA(コレッサ)を販売しています。当社でもプロジェクトの標準ツールとして使用しており、プロジェクトの成功に少なからず寄与してきたと自負しております。
コロナ禍により強制的に進んだIT化、ペーパーレス化にまさにフィットしたツールであり複数の企業間でコミュニケーションを円滑に進めなければならないプロジェクトにおいて最適なツールではないかと考え、本連載に寄稿することにしました。

2.CORRESSAの必要性と機能
CORRESSAには、「コレスポンデンス」機能、「図書管理」機能、「ファイル共有」機能及び「アクションリスト管理」機能(カンバンと呼んでいます)があります。以下、各々の必要性と機能を説明します。
1、コレスポンデンス機能(企業間のメッセージのやり取り)
PMBOKでは、「プロジェクト・コミュニケーション・マネジメント」を「プロジェクト情報の計画、収集、生成、配布、保管、検索、マネジメント、コントロール、監視、そして最終的な廃棄を適時かつ適切な形で確実に行うために必要なプロセス」と定義しています。
つまり、「正しい情報」が「正しい時期」に「正しい手段」で「正しい相手」に伝達されるよう管理すべきということです。
プロジェクトが大規模になればなるほどステークホルダーも増え、コミュニケーションの仕組みを作る事が重要になってきます。
正確に情報を伝達する方法として、大昔はテレックス、ファックス、電話が日常的に使われていましたが、電子メールが普及した現在は、企業間のコミュニケーションは、ほぼメールが連絡手段として定着しています。
この「メール」という手段は非常に便利でありコミュニケーションの主流ですが、構造上、各社がメールサーバーを管理する形となり、迷惑メールいわゆるスパムメールの判断は企業に委ねられています。送ったメールが迷惑メールに振り分けられ、必要なタイミングで相手に届かなかったと言うことは、よく聞く話です。また、アドレスさえわかっていたら、送信できてしまうという便利さもありますが、それとは相反して、誤送信のリスクが伴います。

一方、CORRESSAでは、クラウド上に当該プロジェクトの各社共有のエリアを用意し、メッセージを「送信する」ではなく、その中の情報を「共有する」というイメージとなります。これによって、「受け取っていない」という事象が物理的に起きない構造となります。
また、CORRESSAは、プロジェクトに参加する会社、その会社に所属するプロジェクトメンバーを事前に登録する仕組みとなっているため、登録されているメンバー以外は、当該プロジェクトの情報を見ることができません。これは、一見、不便そうに思えますが、セキュリティの観点から、この方法が最も情報漏洩のリスクが少ない方法と言えます。
CORRESSAでは、前述の「共有する」というアクセス権限において、会社のグループを最小単位として、会社単位、プロジェクト単位でセキュリティを厳密に管理しています。
 

CORRESSAの権限構造


 

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執筆者について

末包 聡史

経歴 株式会社シーエムプラス 代表取締役社長。
1985年、大手エンジニアリング会社入社。国内外の化学プラントの現場工事管理を経験後、1989年にライフサイエンス系プロジェクト部門に移動、以後20年にわたり、合成原薬、点眼剤、固形製剤、バイオ、注射剤等、多岐にわたる種類の医薬品工場建設プロジェクトにおいて、エンジニアリング・マネージャー、プロジェクト・マネージャー、プロジェクト部門グループリーダーを歴任。
2006年には、プロジェクト・マネージャーを務めたプロジェクトが、ISPE2006年ファシリティーオブイヤー・ファイナリストを受賞。 また、2009年には海外プロジェクト部門に移動し、エネルギー、非鉄関連のプロジェクトで、プロジェクト・コントロール・マネージャー、エンジニアリング・マネージャーとして、メガプロジェクトの運営に携わる。
2015年株式会社シーエムプラス入社。プロジェクト・マネージャーとして、国内ライフサイエンス系プロジェクトを担当。2015年9月取締役就任。2018年4月に代表取締役副社長。2020年7月代表取締役社長に就任。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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