医薬品工場建設のノウハウ -プロジェクトの成功に向けて-【第2章-1】

2015/11/19 施設・設備・エンジニアリング

プロジェクトを成功に導くための手順について、ユーザー(製薬会社)の視点で紹介する。

第2章 PJ計画(PJの仕組み作り)
監修:中尾 明夫河須崎 勝美田中 信夫
執筆:末包 聡史

第2章 目次
2.1 プロジェクトの期間
2.2 プロジェクト遂行基本方針
2.3 プロジェクト遂行組織
2.4 マスター・スケジュール

2.5 動員計画
2.6 プロジェクトの運営方法
2.7 キックオフミーティング
※今回は、2章の前半として、2.1から2.4までを掲載する
 


 

2.1 プロジェクトの期間

1章で紹介した通り、ISO10006 ではプロジェクトは「一連の調整され管理された、開始日と終了日のある活動からなり、時間、コストおよび経営資源の制約を含む特定の要求事項に適合する目標を達成するために実施される特有のプロセス」と定義されている。

一口に医薬品工場の建設プロジェクトと言っても、それを担当する人の立場によって、開始日も終了日も異なる。

ゼネコンやエンジニアリング会社の担当者であれば、医薬品会社からITB(Invitation to Bid:入札要請)を受領した日が開始日となり、設計・建設を経て、所定の検査に合格し、契約に基づき引渡しできた日が終了日となる。

医薬品会社にとっての建設プロジェクトは、UR作成から医薬品の許可取得、上市までとなる。

しかしながら、本稿は医薬品工場の建設に焦点をあて、プロジェクトの開始をUR(User Requirements:ユーザー要求)のとりまとめ、終了をPPQ(Process Performance Qualification:プロセスパフォーマンス適格性)完了として説明を進めたい。

なお、建設工事に充てられる時間、着工の投資判断時期は、上市目標時期を基点として、承認取得時期、適合性調査受審時期、申請時期、申請用安定性開始時期等々のクリティカルパスから逆算し、経営からの要求事項としてマスター・スケジュールに組み込まれる。

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執筆者について

末包 聡史

経歴 株式会社シーエムプラス 代表取締役社長。
1985年、大手エンジニアリング会社入社。国内外の化学プラントの現場工事管理を経験後、1989年にライフサイエンス系プロジェクト部門に移動、以後20年にわたり、合成原薬、点眼剤、固形製剤、バイオ、注射剤等、多岐にわたる種類の医薬品工場建設プロジェクトにおいて、エンジニアリング・マネージャー、プロジェクト・マネージャー、プロジェクト部門グループリーダーを歴任。
2006年には、プロジェクト・マネージャーを務めたプロジェクトが、ISPE2006年ファシリティーオブイヤー・ファイナリストを受賞。 また、2009年には海外プロジェクト部門に移動し、エネルギー、非鉄関連のプロジェクトで、プロジェクト・コントロール・マネージャー、エンジニアリング・マネージャーとして、メガプロジェクトの運営に携わる。
2015年株式会社シーエムプラス入社。プロジェクト・マネージャーとして、国内ライフサイエンス系プロジェクトを担当。2015年9月取締役就任。2018年4月に代表取締役副社長。2020年7月代表取締役社長に就任。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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