マレーシアハラール医薬品産業状況


 
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始めに
 キリスト教、イスラム教、仏教は世界三大宗教である。イスラム教は世界中に13億人以上の信者がいるとされ、キリスト教に次いで、第二の信者数を誇る。イスラム国家では、イスラム教は、単なる宗教の枠組みに留まらない。イスラム教徒(ムスリム)の信仰と社会生活のすべての側面を、第一聖典クルアーン(コーラン)と第二聖典ハディースによって規定している。イスラム教はそのクルアーンの教えに基づく戒律(宗教上のきまり)が厳しいことでも有名である。イスラム教徒はクルアーンの教えを守って生活している。イスラム教の教えにおいて合法なものの事(物事、行為)をハラール(Halal)といい、非合法なもののことをハラーム(Haram)という。イスラム教徒が口にするものに対して、ハラールである事が必要となる。勿論、医薬品とその製造原料も全てハラールであることが求められる。そのハラールであることを証明するために、世界各国の認証機関より、ハラール認証が付与されている。
 

マレーシアのハラール製品市場
 マレーシアはイスラム協力機構加盟国の1つで、世界の中でも、政府が製品及びサービスのハラール認証促進を全力支援する唯一の国である。マレーシア統計局(Department of Statistics Malaysia)のデータによると、マレーシアの総人口は約3,000万人(2014年)で、内イスラム教徒は約60%、約1,800万人いる。これらのイスラム教徒の生活需要を満足するために、巨大なハラール製品の市場需要がある。マレーシア統計局によると、下図通りに人口は穏やかに増大する見込みである。



 

マレーシアの医薬品産業状況
 マレーシア投資開発庁(Malaysian Investment Development Authority:MIDAのデータによると、2013年時点で、マレーシアの保健省に属する医薬品管理局(the Drug Control Authority:DCA)に登録したGMP証書付きの医薬品製造施設は263件あり、内計89件は近代医薬品、172件は地元の伝統的な漢方薬品、残りの5件は動物用医薬品を製造している。原薬、錠剤、カプセル、液体製剤、クリーム、軟膏、無菌点眼剤、大容量輸液製剤、少容量注射剤(アンプル&バイアル)、凍結乾燥製剤を全部製造でき、製造能力はマレーシア国内医療需要の30%を満足できる。国民の医療需要の急速な増加に伴い、大手マレーシア製薬メーカーはバイオ医薬品、抗腫瘍剤及び高付加価値の後発品の製造に移行している。





 

 マレーシア製薬協会(Pharmaceutical Association of Malaysia:PhAMA)が公表したIndustry Fact Book 2012によると、2012年マレーシアの医薬品市場は5億リンギット(約160億円)で、2009年~2014年に渡って年平均成長率(compounded annual growth rate:CAGR)9.5%のスピードで安定に成長し、最終は5.4億リンギット(約173億円)となっている。

 マレーシアは、2002年1月にPIC/Sに加盟したことにより、特にメンバー国であるEU、オーストラリア、カナダといった国への製薬品の輸出をしている。現在はマレーシアの市場の薬品の8割が輸入品で国内の生産が2割を占めている。

 日本とマレーシアはFTAs(Free Trade Agreements)及びEPA(Economic Partnership Agreement)を結んでいるので、日本製品のマレーシア市場へのアクセスはより簡単になり、両国の経済的結びつきは深くなっている。
 

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