エッセイ:エイジング話【第62回】
蒸留水からの異物検出
蒸留水から異物が「ときたま検出され困っている」と相談を受けました。製造・品質管理部門の当事者間で対応されたが改善されず、当事者がセミナーへ参加された折に相談を受けました。
困っている内容を聞くと、薬局方に規定される注射用水として水質逸脱に至らず、この問題を工場内で取り上げるか悩んでおられたのです。
これまで、長く稼働した蒸留器からろ紙上にろ過物を認めたことから、缶体を洗浄するか?・更新するか?相談を受けることは在りました。
ところが、この相談があった蒸留器は、余り稼働した年数が経っておりませんでした。最近、年数が浅い蒸留器からも異物を認める現象を抱える現場があり、その究明に取り組まれるケースが他にも在りました。経緯は現場により異なりますが、折があれば触れたく思います。
一連のWFI中の異物現象を観察していると、無菌試験に適合した水から生きた菌は検出されなくとも、Bio particles値として検出されることが判りました。この異物は金属物由来かと当初考えましたが、Bio particles値としても検出されました。
また、Bio particles群は配管・タンク内に滞留すると、単なるフラシング操作では排出が難しいことも判りました。ここは、これまで明らかになら無かった現象でした。
蒸留器からのWFI製造ラインを、UF膜ユニットによるWFI製造ラインへチェンジを実施した現場において、この際に取り換えなかったWFIタンクと配管からもBio particles値が検出され、これは何を計っているのか? どこが発生源なのか? エアなどを測っているのではないか?など喧々諤々のディスカションを行いました。
そもそもWFIループラインはいったん立ち上げてしまうと、系内を厳密にフラシングする機会は滅多にありません。配管内を不働態化(ふどうたいか)するか、配管全体を更新する際を除いてBio particlesは系内に残留します。
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