WFI製造プロせすへの思い【第16回】
WFIの仕事を始めた頃に抱いた疑問、経験を積んでもなかなか「がってん」できなかった事柄を思い起こしながら綴ってきました。ここではWFIの本質を探り、未来のWFIを考えるベースとしましょう。
1.汚染がない概念
人の体内へ直に注入される、稀有な用途であるWFIは、不純物が含まれないことが求められます。がしかし、不純物が含まれない状態を示すことは甚だ困難な作業です。
WFIを開放系にしばらく置くと、汚染し最早WFIではなくなります。「WFI容器入り」は、容器からしだいに汚染されますから、これは消費期限があります。
WFIが生まれる蒸留器内部からも、汚染があることを、このシリーズでたびたび指摘しました。
純水は、飲料水よりも更に不純物を低減した水と位置付けると、汚染を究極的に、出来る限り防止した純水の1つ、これがWFI概念と言えます。
注射剤は、効能成分を除いて他の成分は含まれてはなりませんから、WFIはHとO以外の元素は含まれないこと、不純物が「無」であること、WFI=H2Oこれが注射剤原料用途として求められます。
2.無の概念
「無」を示すことは、様々分野で難しいです。冤罪を疑われた本人が、自ら「無罪」を証明するには、長い、長い、年月が必要だったことを、我々は歴史から知りました。
「無」を証明は出来ないため、実際上は、どこかに妥協点を見付け出し、妥協点から下の水準を、「無」と決めざるを得ません。
「無菌試験に適合する」という概念は、微生物が「無」である概念とは、近い状態ですが、全く別の状態を示す概念です。無菌試験で規定した条件下において、たまたま微生物を検出し得なかった状態を、「無菌試験に適合する」とします。と言うことは、条件を変えて試験すれば、無菌試験適合では無かったこともあり得ます。
3. 純の概念
「純」という概念を示すこともなかなか困難です。純水装置を購入すれば、純水は手に入りますが、純水装置から出てきた水は純水とは限りません。純度試験の結果判定を待って純水であると認められます。
薬局方の純度試験は、項目毎にその純度を数値で示す限度値が定められており、これらが限度値未満であると「純度試験適合」となりますが、純水と真に「純」な水=一切不純物を含まないH2Oとは、これも全く別の存在です。
4. WFIと不純物
WFIは、その用途から不純物がないことが求められます。がしかし、不純物がないことは検査できません。ましてや、サンプリングする過程で汚染が起こりますから、不純物がないことは証明困難なのです。
WFIにとって「何が不純物なのか」この命題も答えは簡単ではありません。注射剤としての効能成分を除いてH2O以外は全て不純物と決めても、効能成分は多岐多様にわたります。
最もシンプルな構成である注射剤は栄養輸液ですが、病院で手術を受ける前には、患者の体力維持のために、この栄養輸液が点滴注射されます。この成分は生理食塩水とブドウ糖液とH2O=WFIです。
ここでは、不純物が極力除かれた食塩水と精製されたブドウ糖液は、効能成分であって不純物ではないのです。ですから、栄養輸液用WFIには、食塩を除く無機物とブドウ糖を除く有機物は含まれてはなりません。
よって、水の中の無機物総量と相関のある水の導電率値が、水の中の有機物総量と相関のある有機体炭素量が、試験法<2.51>導電率として、及び試験法<2.59>有機体炭素としてその限度値が、日本薬局方各条欄に収載されているのです。
ただ、日本薬局方に収載されている限度値は、WFIがその用途から求める数値よりも、かなり高めの数値、規制値としては緩い数値になっています。
ここには、サンプリング時に発生する汚染や測定操作上の汚染が加味されており、実際に現場でWFIへ求める管理値との間に乖離があることは、おおきな問題点として指摘が出来ます。
1.汚染がない概念
人の体内へ直に注入される、稀有な用途であるWFIは、不純物が含まれないことが求められます。がしかし、不純物が含まれない状態を示すことは甚だ困難な作業です。
WFIを開放系にしばらく置くと、汚染し最早WFIではなくなります。「WFI容器入り」は、容器からしだいに汚染されますから、これは消費期限があります。
WFIが生まれる蒸留器内部からも、汚染があることを、このシリーズでたびたび指摘しました。
純水は、飲料水よりも更に不純物を低減した水と位置付けると、汚染を究極的に、出来る限り防止した純水の1つ、これがWFI概念と言えます。
注射剤は、効能成分を除いて他の成分は含まれてはなりませんから、WFIはHとO以外の元素は含まれないこと、不純物が「無」であること、WFI=H2Oこれが注射剤原料用途として求められます。
2.無の概念
「無」を示すことは、様々分野で難しいです。冤罪を疑われた本人が、自ら「無罪」を証明するには、長い、長い、年月が必要だったことを、我々は歴史から知りました。
「無」を証明は出来ないため、実際上は、どこかに妥協点を見付け出し、妥協点から下の水準を、「無」と決めざるを得ません。
「無菌試験に適合する」という概念は、微生物が「無」である概念とは、近い状態ですが、全く別の状態を示す概念です。無菌試験で規定した条件下において、たまたま微生物を検出し得なかった状態を、「無菌試験に適合する」とします。と言うことは、条件を変えて試験すれば、無菌試験適合では無かったこともあり得ます。
3. 純の概念
「純」という概念を示すこともなかなか困難です。純水装置を購入すれば、純水は手に入りますが、純水装置から出てきた水は純水とは限りません。純度試験の結果判定を待って純水であると認められます。
薬局方の純度試験は、項目毎にその純度を数値で示す限度値が定められており、これらが限度値未満であると「純度試験適合」となりますが、純水と真に「純」な水=一切不純物を含まないH2Oとは、これも全く別の存在です。
4. WFIと不純物
WFIは、その用途から不純物がないことが求められます。がしかし、不純物がないことは検査できません。ましてや、サンプリングする過程で汚染が起こりますから、不純物がないことは証明困難なのです。
WFIにとって「何が不純物なのか」この命題も答えは簡単ではありません。注射剤としての効能成分を除いてH2O以外は全て不純物と決めても、効能成分は多岐多様にわたります。
最もシンプルな構成である注射剤は栄養輸液ですが、病院で手術を受ける前には、患者の体力維持のために、この栄養輸液が点滴注射されます。この成分は生理食塩水とブドウ糖液とH2O=WFIです。
ここでは、不純物が極力除かれた食塩水と精製されたブドウ糖液は、効能成分であって不純物ではないのです。ですから、栄養輸液用WFIには、食塩を除く無機物とブドウ糖を除く有機物は含まれてはなりません。
よって、水の中の無機物総量と相関のある水の導電率値が、水の中の有機物総量と相関のある有機体炭素量が、試験法<2.51>導電率として、及び試験法<2.59>有機体炭素としてその限度値が、日本薬局方各条欄に収載されているのです。
ただ、日本薬局方に収載されている限度値は、WFIがその用途から求める数値よりも、かなり高めの数値、規制値としては緩い数値になっています。
ここには、サンプリング時に発生する汚染や測定操作上の汚染が加味されており、実際に現場でWFIへ求める管理値との間に乖離があることは、おおきな問題点として指摘が出来ます。
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