【第1回】規制当局による遠隔評価の実施に関する質問と回答(Q&A)-産業界向けガイダンス案

2022/12/02 レギュレーション

【第1回】規制当局による遠隔評価の実施に関する質問と回答(Q&A)-産業界向けガイダンス案

 「COVID-19(新型コロナウィルス感染症)による公衆衛生上の緊急事態における医薬品製造およびバイオ研究モニタリング施設のリモートインタラクティブ(遠隔対話式)評価に関する産業界向けガイダンス」(2021年4月)が出されました。今回、そのガイダンスのQ&Aが出されましたので、翻訳しました。
 セミナーで下記のことを言っています。
「GMPを理解するにはGMP省令だけでなく、日本薬局方、通知(逐条解説など)、事務連絡(PIC/SGMPガイダンス、GMP事例集)、PMDAの指摘事項(講習会、改善命令、オレンジレターなど)を知る必要があります。
 大学の先生が講義で難しいことを書きながら『君たちこんなこと暗記しなくてよいから。どこに書いてあるか、誰が知っているかを知っていれば善いから』と言われました。なるほど、さすが大学の先生は良いことを言うとすっかり感心して勉強をしなかったら、試験で赤点を取って、その後の勉強が大変でした。でも皆さん、私たちには試験がありません。いつでもカンニングできるようにどこに何が書いてあるかを知ることです。情報はほぼすべてネットにあります。適切なキーワードで検索することです。それと誰が知っているかは、自分がある程度知っていないと、その人の発言が適切かどうか判断できません。そのためには自分の知識を高めることです。間違ったことを言う人の発言はノイズで、判断を間違わせます。
 それと、発言した人の内容を100%信用すると、痛い目に遭います。人を信用してその発言を鵜呑みにすることは品質保証ではありません。その人が根拠にしている原典に戻って、その原典(通知、ガイダンスなど)を自ら読み理解することです。通知など分からなければ、薬事の人に確認することです。
 ただ、Q&AやGMP事例集、PMDAの指摘事項は精読して欲しいです。また何度も読み返していただきたいです。それをやっていると、当局の考え方が段々わかってきます。そうなると『あなたが判断したことは、当局の判断と大きく変わりません。その時にGMPがわかったとなります。いろいろなGMP問題により適切な判断が行えます』と伝えています。
 多くの問題のあった製造所の第三者委員会報告(概略版)を見ていると、QA/QCの責任者が判断ミスを行っています。リソースの確保は当然ですが、リソースを確保すれば品質問題がなくなることはありえません。リソースの確保より大切なことは人の質を高めることです。普段からの学び、ガイダンスを知る、過去問(PMDAの指摘事項や他社の失敗事例など)から学ぶなど行うことです。その地道な努力が品質向上には必須です。それとなにより不正なことは絶対しない。自分たちが造っている医薬品を胸を張って患者様に進められますかです」
 ぜひ、多くの方がこのQ&Aをお読みいただき、役立てていただけますと嬉しく思います。不明な点は原文をご確認ください。また筆者にご質問も歓迎です。
 なお、翻訳にあたっては、鈴木理絵子さんにご協力いただきました。

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執筆者について

脇坂 盛雄

経歴 1979年エーザイ株式会社入社、9年間、品質管理と21年間、品質保証を担う。
専門領域はGQP品質保証、注射剤及び固形剤の異物対応、品質リスクの発見と低減対応 ・医薬品/食品の表示校閲、製品回収リスク回避対策 ・逸脱/苦情対応、変更管理(一変/軽微変更)対応。品質保証責任者(品責)、統括部長および理事を歴任し、2013年9月末に退職。
現在は企業のコンサル・顧問を行う傍ら講演会講師、書籍執筆などを精力的に行っている。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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