医薬品工場建設のノウハウ -プロジェクトの成功に向けて-【第3章-5】

2016/05/19 施設・設備・エンジニアリング

町田 進

プロジェクトを成功に導くための手順について、ユーザー(製薬会社)の視点で紹介する。

【第3章】プロジェクト基本計画(5)

監修:中尾 明夫河須崎 勝美田中 信夫
執筆:町田 進

ユーティリティ検討
 先行して作成された機器リスト、空調システム図を基に、ユーティリティの必要量を設定する。

(1)ユーティリティ量の設定
 製造設備については、機器リストにあげた個々の機器について、ユーティリティ量を算出することとなる。個々の機器について、最大限使用するユーティリティを記載していく。

 ユースポイントが1つのユーティリティについては、機器の最大使用量を供給できるよう能力を決定する必要があるが、複数のユースポイントがある場合、常時稼働する機器以外については、当然、各機器の個々のユーティリティ使用量の合計では、過大な供給量となる。適正なユーティリティ供給を行うためには、同時に使用する機器の仕様量の合計とすることが必要となる。そのために、製造スケジュールが必要となる。

 ユーティリティ供給量が機器の要求使用量合計に比べて少ない場合には、ユーティリティ不足が生じ、製造稼働に影響を与える。このため、ユーティリティの量は余裕をもった供給能力とみることが多いが、一方で、過大なユーティリティ量の設定は、ユーティリティ設備のイニシャルコスト、ランニングコストを増加させるばかりではなく、工程への影響、建築(設置スペースや荷重)、空調(発熱負荷の増加)へのインパクト、メンテナンスの際の作業効率(予備品の数量増加やメンテナンス作業時間の延長)等、間接的な影響も大きくなるため検討が必要である。

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執筆者について

町田 進

経歴 株式会社シーエムプラス 副社長。
2010年株式会社シーエムプラスに入社後、プロセス要件を展開し、建築やMESシステム、バリデーション等へのフロントエンジ段階での設計条件トランスファを行う業務を担当。主要な業務例は、
1)バイオ原薬の基本設計から施工/バリデーション確認
2)高活性合成原薬基本計画策定
3)固形製剤の搬出入トラフィック改善のための基本計画
4)高活性固形製剤の基本計画立案
5)再生医療のSOP作成
6)原薬のMESシステム計画立案
等が挙げられ、全てプロジェクトマネージャーとして担当した。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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