医薬品工場建設のノウハウ -プロジェクトの成功に向けて-【第3章-2】

2016/04/21 施設・設備・エンジニアリング

町田 進

プロジェクトを成功に導くための手順について、ユーザー(製薬会社)の視点で紹介する。

【第3章】プロジェクト基本計画(2)

監修:中尾 明夫河須崎 勝美田中 信夫
執筆:町田 進


3.2 基本計画の内容
 「プロジェクトの目的」が示され、基本計画を行う場合の検討過程について説明する。

与条件の整理
 「プロジェクトの目的」と制約条件、検討課題を確認する。具体的には以下のとおりである。
 

・製造品目の特性(剤型、ハザードの有無、物理的な特性、無菌性の保証の有無等)
・製造フローや製造スケジュール、製造能力の検討書(設備の改修を行う場合は、どの製造工程をどのように変更を行うかについて既設の製造フローや機器図面に示す)
・敷地配置図(新規に建屋を建設する場合に必要であることは当然であるが、改修の場合も、機器の搬入等の工事計画立案のために必要である)
 

 この与条件について次の観点から、基本計画の方針を概観しておくことが望ましい。

・与条件を基に検討した場合、現実的に(コスト、スケジュール等)可能か。
・対応として考えられる候補は1つか、複数か。
・制約条件を満足することができるか。

 上記のうち「対応候補が1つか」については、既設の工場敷地内の空地に新棟を建設する場合は、与条件の建設予定地が適切か比較検討の余地はないか確認すること、設備の改造を行う場合も、改造する方法は他にないか確認のうえ、なぜ、その方法が選択されたか確認すること。条件設定時には、合理的と思われた方法であっても、最適な方法が見落とされているリスクを防ぐために、多面的に再検討する必要がある。

 与条件の整理では、客観的に検討課題や検討結果を評価確認できる要員(例、SME:Subject Matter Expert)をレビュアーとしてプロジェクト組織に含めて計画を開始することが有効と考えられる。

 さらに与条件として挙げられたものについては、MUSTな条件か、BETTERな条件か、やむをえず選択せざる得ない消極的な条件かをクリアにしておくことも必要と思われる。

 与条件として挙げられる項目を以下にリストアップする。

 

表2 与条件リスト

6ページ中 1ページ目

執筆者について

町田 進

経歴 株式会社シーエムプラス 副社長。
2010年株式会社シーエムプラスに入社後、プロセス要件を展開し、建築やMESシステム、バリデーション等へのフロントエンジ段階での設計条件トランスファを行う業務を担当。主要な業務例は、
1)バイオ原薬の基本設計から施工/バリデーション確認
2)高活性合成原薬基本計画策定
3)固形製剤の搬出入トラフィック改善のための基本計画
4)高活性固形製剤の基本計画立案
5)再生医療のSOP作成
6)原薬のMESシステム計画立案
等が挙げられ、全てプロジェクトマネージャーとして担当した。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

40件中 1-3件目

コメント

この記事へのコメントはありません。

セミナー

2025年5月30日(金)10:00-16:30

バイオ医薬品の開発とCMC戦略

2025年9月10日 (水) ~ 9月12日 (金)

GMP Auditor育成プログラム第20期

CM Plusサービス一覧

※CM Plusホームページにリンクされます

関連サイト

株式会社シーエムプラス

本サイトの運営会社。ライフサイエンス産業を始めとする幅広い産業分野で、エンジニアリング、コンサルティング、教育支援、マッチングサービスを提供しています。

ライフサイエンス企業情報プラットフォーム

ライフサイエンス業界におけるサプライチェーン各社が提供する製品・サービス情報を閲覧、発信できる専門ポータルサイトです。最新情報を様々な方法で入手頂けます。

海外工場建設情報プラットフォーム

海外の工場建設をお考えですか?ベトナム、タイ、インドネシアなどアジアを中心とした各国の建設物価、賃金情報、工業団地、建設許可手続きなど、役立つ情報がここにあります。

※関連サイトにリンクされます