医薬品工場建設のノウハウ -プロジェクトの成功に向けて-【第3章-1】

2016/04/15 施設・設備・エンジニアリング

町田 進

プロジェクトを成功に導くための手順について、ユーザー(製薬会社)の視点で紹介する。

【第3章】プロジェクト基本計画(1)

監修:中尾 明夫河須崎 勝美田中 信夫
執筆:町田 進


3.1 基本計画の内容
 基本計画(概念設計)とは、施設設備の設計を開始する前に、概算予算、全体工程を含めた計画概要や要求事項を示し、社内関係者を含むステークホルダーの合意を取ることと定義する。
 
 新規の医薬品工場において、基本計画にて策定されるべき一般的な項目は次の通りである。
   ① プロジェクトの目的
   ② 設計与条件
   ③ 敷地計画
   ④ 平面計画、立面計画
   ⑤ プロセスフローやマテリアルフロー等の製造概要
   ⑥ 製造設備の主仕様を示す機器リスト
   ⑦ ユーティリティの必要量スターディならびにユーティリティ概要
   ⑧ 空調計画
   ⑨ 概略工程案
   ⑩ コスト見積
 
 本章では、上記に挙げた項目を具体的に検討する際に、留意するポイントを述べてみようと思う。
 
基本計画の与条件とURやURSとの関連
基本計画とUR(要求事項)やURS(ユーザ要求仕様)との関連を模式図に示す。
 


図1 基本計画とUR・URSの関連

 

 ここでいう、基本計画では、UR(要求事項)をまとめ、整理する過程を含めている。この意味から、ISPE Baseline Volume 5 “Commissioning & Qualification” にて定義されているURB(User Requirements Brief:ユーザ要求事項ブリーフ)の作成過程を含むものとしている。

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執筆者について

町田 進

経歴 株式会社シーエムプラス 副社長。
2010年株式会社シーエムプラスに入社後、プロセス要件を展開し、建築やMESシステム、バリデーション等へのフロントエンジ段階での設計条件トランスファを行う業務を担当。主要な業務例は、
1)バイオ原薬の基本設計から施工/バリデーション確認
2)高活性合成原薬基本計画策定
3)固形製剤の搬出入トラフィック改善のための基本計画
4)高活性固形製剤の基本計画立案
5)再生医療のSOP作成
6)原薬のMESシステム計画立案
等が挙げられ、全てプロジェクトマネージャーとして担当した。
※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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