医薬品のモノづくりの歩み【第37回】

2025/01/31 品質システム

引き続き、医薬品の「モノづくり」と小集団活動(3)について。

執筆者関連書籍「医薬品製造におけるモノづくりの原点と工場管理の実践

医薬品の「モノづくり」と小集団活動(3)

 本連載では、医薬品の「モノづくり」を担う工場において、小集団活動、特にQCサークル活動は時代遅れなのかを、現在の工場を取り巻く環境変化に合う活動の在り方に触れて、お話ししたいと思います。

 筆者もバブル景気に沸き、その後のバブル崩壊と経済の激動の頃に、医薬品工場の若手技術者として生産部門に身を置き、小集団活動に参加してきました。当初は活動が体系化されている品質改善をテーマにしたQCサークル活動から始め、その後、社内の活動が活発になるにつれ、職場改善など業務品質向上や原価低減活動など活動テーマが広がっていきました。活動年数を重ねるにつれて、次第に活動自体がマンネリ化していき、労働環境のリスク(時間外を中心とした活動時間の持ち方)や成果より発表を重視する傾向が強くなるなど、活動の見直しが求められる中、活動の仕方に工夫を持たせたり、立場が変わり推進担当として活動の進め方の見直しを手掛けてきました。その後、医薬品業界もグルーバル化の流れにあって、企業合併に伴う工場の統廃合、薬機法改正により製造委受託の進展など、医薬品の「モノづくり」を担う工場を取り巻く環境が激変していく中でも、小集団活動の進め方を変えつつ継続してきました。
これは、筆者の会社だけに言える話ではなく、その後の日本が経済低迷期、低成長時代に入っていくことにより、企業の経営環境が変化し、小集団活動の在り方が見直される時期にあったことにもよると思われます。ともあれ、工場において、品質向上や設備稼働効率向上、安全危険予知訓練、原価低減など、何れも取り巻く環境が変わっても普遍的な課題であり、その取り組み手段として小集団活動は工場経営の重要なツールであることは言うまでもありません。そこで、これまでの活動の変遷についてQCサークル活動を例に挙げて振り返りながら、現在の「モノづくり」を担う工場における小集団活動の在り方について考察してみたいと思います。

 QCサークル活動は第35回連載でも触れたように、第2次大戦後の経済復興から日本ブランドとして世界的に品質が評価されるまでの間の品質向上に大きく貢献してきましたが、その効果は、品質向上への直接的効果だけでなく、人間関係改善や業務への問題意識の向上、技能やリーダーシップ能力、達成感の向上といった人材育成や職場作りなどにも大きな効果をもたらしてきました。1) その後、先にも述べましたように、活動を進める上で、いくつかの問題が浮き彫りになってきました。

 

 

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執筆者について

菱田 純

経歴 1980年第一製薬株式会社(現第一三共株式会社)入社。固形製剤の製剤研究に従事したのち、生産部門に移動。工場建設、本社生産物流企画、工場分社化、2007年旧三共株式会社との事業統合に伴う生産会社(第一三共プロファーマ株式会社)設立などを担当し、生産に関わるプロジェクトや生産戦略企画実行を数多く経験した。2007年同社取締役経営管理部長、平塚工場長。2014年北里第一三共ワクチン株式会社取締役副社長生産本部長歴任後、現在に至る。 ※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

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