いまさら人には聞けない!微生物のお話【第5回】

第一部 微生物の基礎編

1.    微生物とは
2.    微生物学の歴史
3.    細菌とは?
4.    ウイルスとは?
5.    真菌とは?
6.    微生物はどこにいるか?
7.    無菌とは
8.    空気がなくても生きられる微生物
9.    腐敗とは
 


6.  微生物はどこにいるか?

微生物はよほど管理された環境でない限り、どこにでもいます。 空中、水中、海中、土中、さらに深海底、成層圏、砂漠の砂中、そして(ちゃんと管理されていなければ)クリーンルームにも。 もちろん私たちの体にも多くの微生物が存在しています。 私たちは微生物に取り囲まれています。 自然界で微生物が存在していないのは、火の中、火口の溶岩の中などのごく限られた環境のみです。

私たちの体には100兆個を超える数の微生物(主に細菌)が存在するといわれています。そのほとんどは、私たちの皮膚、口腔、消化管の内部に生息しています。 人間の皮膚には1㎠ 当たり数千から数万個もの微生物が存在しているといわれています。 私たちの便1gには100億個から1,000億個の腸内細菌が存在しているといわれています。

人体を構成する細胞の数が約37兆個といわれますので、私たちはそのおよそ3倍の微生物を従えて生活していることになります。それらの大半は人と共生関係にあり、通常体に害を及ぼすことはありません。 (衛生微生物研究センターホームページより引用)

しかしちょっと見方を変えると、正反対の状況も見えてきます。

私たちが微生物に囲まれていることは事実です。しかし実は私たちの体の中はほぼ無菌状態になっています。私たちの体の表面は皮膚や粘膜で覆われています。 その皮膚の上、粘膜の上には多くの微生物が存在しています。消化管の内部にも夥しい数の微生物が生息しています。注)では血液中はどうでしょう? 筋肉は、脳はどうでしょう?健康な人であれば、それらの中には微生物は存在しません。つまり無菌状態です。このように皮膚や粘膜で仕切られた内部は、事実上無菌状態になっています。

注)胃や腸などの消化管の内部は、口と肛門で外界とつながっているため、「体外」と考えます。

もっと大きな目で見ると、生命が存在するのは地球のそれも地表を中心としたごく狭い範囲であるという事実や、さらには地球以外の宇宙に生命はあるか? という疑問も出てきます。こう考えると無菌状態というのがむしろ普通で、微生物を含む生命がある方が特別なのかもしれません。
 

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