ドマさんの徒然なるままに【第29話】
第29話:お宅にはこんな人いませんか?/QA編
どこの会社がどうのとか、誰がとかは別として、「おい、こいつ!」と思う方がいたりします。読者の皆様方からしても、「あー、そういうことってあるある!」、「そういう奴っているいる!」といった感じの方々です。今回は、QAという部署や業務を通じて感じた、そんな人たちをピックアップしてみました。
なお、誤解無きよう予め言っておきますが、他意も悪意もありません。あくまで、身近に“こんな奴”がいたりしませんかねー、いたら困ったちゃんですねー、というだけのことです。悪しからず、ご了承ください。
● 何かにつけて「コンプライアンス」を言いたがる奴
【背景】
仕事柄、基本はGMPコンプライアンスを指すことは言うまでもありません。GMPの求めることに差異はありませんので、そのベースがGMP省令であっても、PIC/S GMPであっても、それ自体が問題な訳ではありません。状況によっては、それがcGMPやEU-GMPに限定される場合もあるかと思いますが、それも敢えて問わないことにしましょう。が、「それはコンプライアンスの問題だね。」とか「それはコンプライアンスの意識と対応が不足しているからなんじゃないのか?」とか偉そうに言う奴がいたりします。
【問題点】
一見(いっけん)正論に聞こえますが、指摘しているコンプライアンスの中身が不明瞭なことが多いです。ましてや具体的な対応策について言及することはまずありません。
【個人的な解釈と意見】
議論となっている対象のポイントとその具体的な対策について意見を求めましょう。たぶんマトモな回答、少なくとも納得しうる回答は得られないと思いますが・・・。後述しますが、こういう状況下で「教育訓練云々」を言い出す奴はほぼダメです。こういう奴を相手にすること自体が時間の無駄です。こちらから教えてあげようとしたところで、「聞く耳持たぬ」が見えており、改善の余地は無いと言っても過言ではありません。
● 何かにつけて「教育訓練」を言いたがる奴
【背景】
先述のコンプライアンスに限ったことではありませんが、不備に対する改善策として、「じゃー、SOPを改訂して教育訓練を施しましょう。」とか「教育訓練を強化しましょう。」とかを言い出す奴がいます。特に逸脱やOOSに対しては、ほぼこのパターンと言えます。
【問題点】
教育訓練は大事であり必要なことですが、「目的・対象・評価方法等」の具体性がなければ効果は上がりません。漠然と教育訓練を実施したところで、受講者からすれば、「何のこっちゃ!?」という場合もあるんじゃないかと思います。こんな目的が曖昧な、薄っぺらなことを繰り返していると、「また教育訓練かよ!」として、オオカミ少年みたいな逆効果になってしまう可能性すらあるので注意が必要です。
【個人的な解釈と意見】
何かと言い、口癖のように「教育訓練云々」を言い出す奴に対しては、そのご本人の認識に問題がありますので、その方に対して集中的に(個人的)教育訓練を施しましょう。たぶん無駄な努力で終わると思いますが・・・。そうじゃないですね。そもそもそんな奴は個人授業など受けないですね、失礼しました。
ちなみに、こういう奴は「自分はシッカリ理解している。」と思い込んでおり、それなりの肩書を有する立場であることが多く、そもそも教育訓練そのものを斜に構えて、普段から真摯には受講しないですよね。
じゃー、どうするかって? 率直に言って、そいつの立場のほうが上の場合には、そいつが異動することを期待するか or (冷たいようですが)自分が異動・転職するしかないでしょうね。
● 何かにつけて「SOP云々」を言いたがる奴
【背景】
何かにつけて「教育訓練」を言いたがる奴と同様に問題の多い奴として、何かにつけて「SOP云々」を言いたがる奴が挙げられます。
【問題点】
「SOPに従って作業」はGMPの基本であることは事実ですが、すべての場合に適用できる訳ではありません。あくまで“通常の作業”に対して記述されていると考えるべきでしょう。SOPにすべてが記載されている訳でも、記載できる訳でもありません。それを言い出したら、リスク管理のリスクすべてが想定しうることになり、対処法が手順化されていることになってしまいます。逆に言えば、それって既にリスク低減策が施されており、リスクとしては低いと言えます。そもそも想定外の逸脱や異常こそがヤバイんじゃないでしょうか。
SOP記載だけを鵜呑みにして対応すると、一歩間違うと不備のあるSOPに基づいて不備を続けることになり兼ねないことだってあります。そもそもこの手の会社や奴は、SOPの形式的な定期的見直しと称して改訂版数だけをアップし、真の意味での継続的改善として丁寧に見直すことはないと考えます。
【個人的な解釈と意見】
言いたい奴には言わせておけば宜しいかと思います。それが嫌なのであれば、言い出しっぺとして、ご本人に新規作成 and/or 改訂して貰いましょう。筆者の経験から、SOPが無いからだとか、記述の不備・不十分等を見つけ出して注文をつけるにも拘らず、自分では全く書けないという方が少なからずおられます。もろ批評家のタイプです。レビュアーとして使えそうならば、レビュアーとして頑張って貰いましょう。ただ、必ずしも建設的意見を述べるとは限らず、すべてを否定的にしか捉えない奴がいることも事実です。そんな奴の場合は相手するだけ無駄なので無視しましょう。
ちなみに、その方が作業者や管理者としてどうかは、また別の問題で???です。もしその方の立場のほうが上の場合には、先述同様にそいつが異動することを期待するか or (冷たいようですが)自分が異動・転職するしかありません。
● 何かにつけて「うちのポリシーだ」と言いたがる奴
【背景】
委託先監査や本社筋からのグループ内監査に多いパターンです。もろ上から目線でGMP要件を超えていると思える、理不尽な要求をする奴です。受託製造(業者)という、ある意味弱者の立場においては、「それって、どのGMPのどの条項に示されていますか?」と問いかけると、「それは うちのポリシーだ。」とマウンティングしてくることが多いように思います。
【問題点】
GMPの条項がすべてではありませんので、そのポリシーが品質の観点で確かにそうだというのであれば良いのですが、委受託等のビジネス、或いは本社筋vs工場といった弱者に付け入っているだけで合理性の無い場合は問題です。意味の無い設備投資が必要になることもあるでしょうから。少なくとも、SOPの制改訂等、リソースをかける必要が生じることは確実です。
【個人的な解釈と意見】
そのポリシーと品質の関係、できればGMP要件との整合性について問いただしましょう。大方は、ハッタリ(もっと悪く言えば、口から出まかせ)で言っているだけで、言っているご本人の会社や部署の「品質方針」や「品質目標」として規定されている訳でもないことが多いように思います。
また、そのポリシー対応により、どれだけ製品の品質が向上するのかも確認しましょう。もしご自身にそのポリシーに照らし合わせた代替案があるのであれば、提案してみましょう。立場上、押し切られる可能性は高いですが、ある程度の譲歩を引きずり出せる可能性はあります。うまく行けば、相手の矛盾点や不合理性を突いて、指摘しようとした事項を取り下げさせることは可能かもしれません(経験あり)。
この議論(交渉?)で大事なことは、単なる指摘減らしではなく、あくまで製品品質に対する合理的根拠にあることはお忘れなきよう。
ちなみに、こちらが監査を行う立場にあっては、こんな奴にならないように注意しましょう。説得力の無い言葉だけの“ポリシー”って、そもそも「品質ポリシー」とは言いませんし、自身の薄っぺらさを暴露した上に、監査終了後に塩をまかれるパターンですから。
● 「うちは大丈夫だよな!?」と同意(Yesの答え)を求める奴
【背景】
会議の席上などで、「うちは大丈夫だよな!?」と同意を求めてくる奴がいるかと思います。自社状況も理解した上で純粋に確認の意味で尋ねて来るのであれば許せるのですが、明らかにそうでなく、自分が現状を理解できていないことを会社上層部に知られたくないために聞いてくるような場合です。
【問題点】
主任、課長、部長といった立場とは無関係に、その管理能力に疑問を感じさせる奴に多いように思います。違うか、逆ですね。管理能力が高いフリはするが、実際にはその能力が不足しているから聞いて来るんですね。すいません。
この手の奴ら、GMPを理解しようともせず、QAという部署の役割も上っ面で、本音は「出世方針」と「出世目標」とで生きているパターンでしょうか。世渡りはうまいため、会社上層部がいる場合といない場合とを上手に使い分け、その態度も異なるかと思いますので、始末が悪いとしか言いようがありません。
【個人的な解釈と意見】
ご自身の人生をどのように考えるかに依存しますので、筆者がどうのこうのと言うものではありません。正義感に燃えるか、当該上司と同様に世渡り上手に生きていくか、そのチョイスはあなた次第です。
こういう奴は、ほぼ間違いなく、「うちは(他と違って)問題ない」と思い込んでいるか、思いたがっています。もし問題があれば、あなたのせいにされるでしょう。こういう奴がいると、改善の余地が少ないか、余地がありませんが、止むを得ず問題箇所を告げざるを得ない場合は、異論・反論の余地が無いくらいの理由や根拠を持って論理的に攻めるしかありません。ある意味、手ごわい相手です。
こういうタイプの者が品質保証責任者であったり、QA内の責任ある立場にいると、ほぼ間違いなく、その会社は危険な状態に陥ります。気を付けましょう。個人的には、「お気の毒に」と言う言葉をお贈りします。
いかがでしたでしょうか。「うちにもいるわー!」と思うのであれば、気を付けましょう。大方は上司であったり、力関係が上の者であったりすることが多いので、面と向かって言う訳にも行かず、歯がゆい思いをしているんじゃないでしょうか。言い方に気を付けなければ、被害をこうむるのはこちらです。
ただ、部署のため、会社のためにはどうにかしたいですよね。余計なことを書くと苦情が殺到しそうなので、対処法は記しませんでした。結局のところ、問題児の性格・立場・状況で伝え方や表現は変わりますし、筆者からすれば他人事でしかありません*1ので、対処法はご自身でご検討ください。本話、あくまで「どこも同じなんだなー。」といった程度の軽いシンパシーとしてお読み頂ければ、それで十分だとご理解ください。
では、また。See you next time on the WEB.
【徒然後記】
孫とのLINE
1年ちょっと前から孫とLINEしている。我が長女の子供(長男・次男・長女の三兄妹)であるが、2つあり、1つは長男とのLINEで、もう1つは次男と長女ふたり一緒のLINEである。昨年の1回目の緊急事態宣言で小学校が休校になったことから、暇つぶし用として娘が孫と私の間のLINEとして開設してくれたものである。そのヤリトリの頻度は極めて少ないものの、直接会えない分だけ、LINEのヤリトリも満更ではない。
当方としては、一番下の長女が丁度小学校のご入学であったこともあり、国語の勉強のつもりで対応している。当初は、このくらいの漢字は習っているかと想像し、簡単な漢字を挿入すると「かんじはやめて」と返事されてしまった。それから1年が過ぎたが、まだひらがなメインである。
一方、一番上の長男は、小学6年となり、シッカリとした文章である。つい最近のことである。「コロナには負けません絶対に」「おじいちゃんも負けないよね」と送ってきた。孫の成長の速さを実感する、と共に孫に励まされる。どんなワクチンや治療薬よりも効果絶大である。
この子たちが一人前になるまで頑張って生きようかな、なんて思う今日この頃である。
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*1:(天の声)なんていい加減な奴なんだ、お前は!
(筆者)あんたに言われたくないよ。
(天の声)せめて何がしかの対処法くらい書けよ!
(筆者)それで失敗したときに文句言われる筋合いはないからね。
責任も取れないしさ。
(天の声)ここに書かれた“奴”って、お前のことなんじゃないのか?
(筆者)イメージとしては、天の声さん、あんただよ。
(天の声)天罰じゃー!
(筆者)ギャーーー!
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