医薬品,医療機器滅菌の新しいトレンド“放射線滅菌”【第9回・最終回】
滅菌バリデーション基準やISO各滅菌規格、ガイドラインなどが標準化され、放射線滅菌バリデーションは比較的容易に実施できるようになりました。ただ、実際に滅菌バリデーションを実施すると、滅菌工程開発、滅菌条件設定、最大許容線量設定、バイオバーデン測定などで多くの問題が発生します。経験があればすぐに対応ができるのですが、最初は試行錯誤の連続だと思います。本稿では筆者が経験した事例を紹介し、その有効な対策についていくつか紹介します。ご参考になれば幸いです。
新たに放射線滅菌バリデーションを導入する場合、最初に、滅菌バリデーション基準やISO11137を参照し実施計画を立てます。導入の理由はさまざまで、新規製品の滅菌法として、または他の滅菌方法からの変更などがあります。滅菌バリデーションの考え方は各滅菌法で共通なのですが、滅菌の作用が異なることから注意すべき事項は異なります。放射線が与える影響として、ポリマーなどの材質劣化、医薬品成分の分解、着色などがあり、放射線滅菌の導入においてはこれらの問題点を解決する必要があります。1)また、滅菌対象が無菌製品であり、リスクが高いことから対策は一時的な応急措置ではなく恒久的な対策が必要と考えます。下記に、滅菌バリデーション導入時に発生頻度が高く、また、重要度が高い事項をリストアップし、現状において有効な対策を記載します。
1. 滅菌線量が高く設定される。
滅菌線量が高く設定されると、最大許容線量も高くなり、製品に与えるダメージが高くなります。よって、滅菌線量はできるだけ低くすることが重要です。放射線滅菌の場合は、滅菌線量はバイオバーデン数によって設定されます。つまり、バイオバーデンが少ない場合は滅菌線量が小さくなり、バイオバーデンが多い場合は滅菌線量が高くなります。よって、滅菌線量を小さくするにはバイオバーデンをより少なく安定的に管理することが必要になります。バイオバーデンを低くする対策については第7回をご参照下さい。
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