ラボにおけるERESとCSV【第73回】

▼執筆者関連セミナー
これからのQA業務のためのCSV/データインテグリティの基礎とその監査方法
~製造とラボにおけるFDAのDI指摘500事例をふまえ~

 



7.483における指摘(国内)
前回より引き続き、国内企業に対するFDA 483に記載されたデータインテグリティ観察所見(Observation)の概要を紹介する。
 
■ KKK社 2019/5/31  483
施設:製剤工場


■Observation 3
製品テストにおいて分析計のプリントアウトしかレビューしていない。オリジナルデータである分析計の電子生データを、バッチリリース前にレビューしていない。

★解説:
オリジナルデータがダイナミックレコード形式(動的記録形式)である場合
データレビューの対象は;
•    プリントアウトではない
•    生データであるダイナミックレコード形式の電子記録である
•    監査証跡を含む
この483指摘にはどのような分析計であったか記載されていないが、オリジナルデータがダイナミックレコード形式(動的記録形式)の分析計であったと思われる。

スタティックレコード形式とダイナミックレコード形式の定義;
•    スタティックレコード形式
     紙やpdfの様に、データが固定されており再処理や拡大表示が
     できないような記録の形式
•    ダイナミックレコード形式
     データ処理、データ解析、データを拡大表示できるような記録
     の形式。例えば、電子的に維持されているクロマトグラフィの
     オリジナルレコードの形式

オリジナルデータと生データの定義;
•    オリジナルデータ
◆ 紙であろうが、電子であろうが最初に捉えた情報
        (PIC/S DIガイダンス 第7.5節)
•    生データ
◆ PIC/S GMP第4章 文書化
・品質判定に用いる全てのデータ
◆ GMP事例集(2013年版 GMP20-5 )
・最終結果を得るために使用した元となるデータ
・最終結果を得るに至った過程を含む記録
・最終結果を検証することができるもの
最初に捉えた情報を「生データ」と解釈している場合が多いかもしれないが、データインテグリティの世界では、それは「オリジナルデータ」もしくは「オリジナルレコード」とよばれる。また、「生データ」の現時点におけるGMP上の定義は上記のようになっている。

 

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